軽微な犯罪で公訴提起を必要としない事件を警察段階で終結させる処分。司法警察員は,犯罪の捜査をしたときは,事件を検察官に送致しなければならないが,検察官が指定した事件は送致する必要がない(刑事訴訟法246条)。この規定を根拠に,各地方検察庁検事正は,犯情がとくに軽微で再犯のおそれのない少額の窃盗,詐欺,横領,賭博等の事件であって,刑罰を必要としないと明らかに認められるもの(ただし,被疑者を逮捕した事件,告訴等があった事件,法令が公訴を命じている事件,検事正がとくに送致すべきものと指示した事件を除く)を指定して,微罪処分をすることを認めている。これは,事件を本来の司法過程よりも早い段階で処理する司法前処理(ディバージョンdiversion)の一形態である。さらに,微罪処分は,単に手続の早期打切りという側面ばかりでなく,対象者に対する積極的な働きかけという側面も持つ。犯罪捜査規範(1957国家公安委員会規則)は,被疑者に対する訓戒,親権者,雇主等からの請書の徴取,被害回復や謝罪の勧奨の処置をとるものとする旨定めている。なお,微罪処分をした事件については,1ヵ月ごとに一括して,微罪処分事件報告書により検察官に報告しなければならない。なお,微罪処分率は,最近,増加傾向にある。
執筆者:長沼 範良
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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