検察官が刑事事件の容疑者を起訴しないと決めること。理由は/(1)/犯人とする証拠がない場合の「嫌疑なし」/(2)/証拠が十分でないため有罪の見込みがない「嫌疑不十分」―などがある。嫌疑はあるが、犯罪後の事情などを考慮して起訴を見送る「起訴猶予」も含まれる。容疑者の死亡で処罰対象が存在しなくなった際も適用する。いったん不起訴とした容疑者をあらためて起訴することも可能。
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検察官が公訴を提起しない処分をすることをいう。
(1)被疑事件が罪とならないとき、または事件について証拠が不十分であるとき、
(2)免訴の判決、公訴棄却の決定、公訴棄却の判決の各事由にあたる場合のように、公訴の要件を満たさないとき、
(3)犯人の性格、年齢および境遇、犯罪の軽重および情状ならびに犯罪後の情況によって訴追を必要としないとき、
に行われる。(3)の場合をとくに起訴猶予といい、これは起訴便宜主義(検察官の裁量による起訴猶予を許すこと)をとる場合に初めて認められる。『犯罪白書』(2009)によれば、2008年(平成20)における被疑事件の処理区分別構成比は、公判請求7.0%、略式命令請求27.4%、起訴猶予52.1%、その他の不起訴4.4%、家庭裁判所送致9.1%である。
なお、検察官による起訴独占主義、起訴便宜主義の運用が独善に陥ることを抑制するものとして、裁判上の準起訴手続(付審判手続ともいう。刑事訴訟法262条~269条)と検察審査会制度がある。
[内田一郎・田口守一]
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