忘れられる権利(読み)ワスレラレルケンリ(その他表記)right to be forgotten

共同通信ニュース用語解説 「忘れられる権利」の解説

忘れられる権利

インターネット上に残る個人情報の削除を求める権利。スペインの男性が所有不動産を競売にかけられた過去についての検索結果の削除を求めた訴えで、欧州連合(EU)の最高裁に当たるEU司法裁判所が2014年、グーグルに削除を命じ、注目を集めた。プライバシー保護の新しい権利として注目されるが、日本の法律に明文規定はない。裁判では、プライバシー侵害や名誉毀損きそん観点から削除が認められたケースもある。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

図書館情報学用語辞典 第5版 「忘れられる権利」の解説

忘れられる権利

インターネット上に流出した個人情報について,特定個人がグーグルなどの企業に対して,当該情報にアクセスするリンクの削除を要求する権利.2000年代以降,欧州を中心に議論され,2014年欧州司法裁判所がこの権利を認める判断を下した.2018年施行されたヨーロッパ連合(EU)一般データ保護規則(GDPR)に明記される.日本では,2015(平成27)年さいたま地裁がこの権利に言及したが,翌年東京高裁は要件や効果が明確でないとしてこれを取り消した.民主主義根幹をなす知る権利,表現の自由を抑制する側面があり,普遍的な国際的人権としては熟していない.

出典 図書館情報学用語辞典 第4版図書館情報学用語辞典 第5版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「忘れられる権利」の意味・わかりやすい解説

忘れられる権利
わすれられるけんり

インターネット上に掲載された自分の個人情報を削除できる権利。2012年1月、ヨーロッパ連合(EU)は個人情報保護を定めた「一般データ保護規則案」を公表。この第17条に「忘れられる権利right to be forgotten」が明文化され、データ元の個人から請求があった場合、個人データ管理者に当該データの削除が義務づけられることとなった。これに対しグーグル社は「報道の自由に対する検閲」と主張し反対してきた。しかし2014年5月、EU司法裁判所がスペイン人男性の訴えを認め、グーグルにリンクの削除を命じる判決を下した。その後グーグルには削除依頼が殺到し、グーグルがこれに対応したため、多くの犯罪や不祥事に関するニュース記事が表示されない状態になった。特定の情報を削除することによって市民の知る権利が侵害されることにもなるため、忘れられる権利と知る権利との線引きをどう決めるかが課題である。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

一度利用した製品を捨てずにそのまま再使用すること。ごみの削減に重要だとされる「3R」の一つで、衣類・服飾品や家電などさまざまな品目が取り扱われている。リユース商品の専門店やイベント、フリーマーケット...

リユースの用語解説を読む