改訂新版 世界大百科事典 「応用経済学」の意味・わかりやすい解説
応用経済学 (おうようけいざいがく)
経済学の中で最も基本的な問題を理論的に体系化したものを経済の純粋理論というのに対して,この純粋理論を個別の具体的な経済問題の分析および実際の経済現象の説明に適用する研究を行う領域を一般に応用経済学という。以上はきわめて厳密な応用経済学の定義である。しかし,通例の分類としての応用経済学とは,経済理論を現実の経済問題の解明に適用する学問であるとされている。
応用経済学の研究対象は,一国の経済の規模と構造が決定される仕組み,景気の上昇や停滞をくり返す景気変動の仕組み,産業間の結びつきと所得発生,貿易などの相互関連,市場価格の成立や所得分配の仕組み,労働雇用と失業の分析,さらにはインフレーション,財政,金融,国際経済などきわめて広範囲にわたっている。また,家計の消費行動,金融資産の選択行動,企業の投資・生産行動などの具体的な問題の分析も応用経済学に含まれている。
応用経済学は,以上に述べたように,現実の具体的な経済問題を解明することをおもな目的としている。そして,この研究を通じて,政府の経済政策の手段としてどのようなものがありうるか,それらの手段を用いて政策を実施したときにどのような効果があるかを明らかにすることも,応用経済学のもう一つの目的である。応用経済学の具体的な方法としては,通常の理論的研究と種々のレベルでの計量経済学的方法とがある。後者は,統計資料を体系的に分析することができる点で優れた方法である。
→経済学
執筆者:浜田 文雅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報