日本映画。1927年(昭和2)作品。脚本・監督伊藤大輔(だいすけ)。三部からなるサイレントの時代劇で、それぞれ独立して公開された。第一部「甲州殺陣篇(へん)」、第二部「信州血笑篇」、第三部「忠次御用篇」。チャンバラ映画の伝統を破棄し、伊藤大輔創案の人間忠次(国定忠治)を斬新(ざんしん)な手法で描いたサイレント映画時代劇の金字塔ともいうべき傑作。第一篇は、甲州に逃げ込んだ忠次が、家長の死後旧家の財産を横領する悪人たちを退治して行方も知れず旅立ついきさつ、第二篇は、子連れの忠次が信州で落魄(らくはく)の苦悩を嘆く挿話、第三篇は、追われる身の忠次がやっと村に帰ったところを捕らえられる顛末(てんまつ)を描く。大河内伝次郎(おおこうちでんじろう)の忠次の熱演はもとより、伊藤大輔の流通自在の技術が見ものである。
[飯島 正]
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…そして尾上松之助の死後,河部五郎を後継スターとして時代劇を量産するうち,まもなく日活が時代劇における決定的な大変革をもたらした。すなわち,〈時代劇〉の呼称を生み出した伊藤大輔がみずからの脚本,監督のもと,《長恨》に続いて新スター・大河内伝次郎と組んだ《忠次旅日記》三部作(1927)の出現である。この作品は,あくまで時代劇ならではの手法を駆使して1人の無法者の流転と敗残の姿を描きつつ,現代的ともいえる人間の感情をなまなましく表現して,時代劇を超える時代劇として絶賛され,以後,日本映画史上の最高傑作の一つとみなされている。…
※「忠次旅日記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
送り状。船荷証券,海上保険証券などとともに重要な船積み書類の一つで,売買契約の条件を履行したことを売主が買主に証明した書類。取引貨物の明細書ならびに計算書で,手形金額,保険価額算定の基礎となり,輸入貨...
9/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新