(読み)タイ

デジタル大辞泉 「怠」の意味・読み・例文・類語

たい【怠】[漢字項目]

常用漢字] [音]タイ(漢) ダイ(呉) [訓]おこたる なまける だるい
心がたるんでなまける。「怠惰怠慢過怠緩怠勤怠懈怠けたい・かいたい倦怠けんたい
[名のり]やす

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「怠」の意味・読み・例文・類語

おこたり【怠】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おこたる(怠)」の連用形名詞化 )
  2. すべき事をしないこと。なまけること。怠慢。手おち。油断
    1. [初出の実例]「今、天の下、天皇の崩りたまうことを知らず。若し百姓(おほむたから)知らば、懈怠(ヲコタリ)有らむや」(出典:日本書紀(720)仲哀九年二月(熱田本訓))
    2. 「日々おこたり無く学校に通はば」(出典:幼学読本(1887)〈西邨貞〉三)
  3. 自分の怠慢や宿命によっておこる過失、または罪。
    1. [初出の実例]「昔よりのことをばいかがはせん、たへがたくとも、わが宿世(すくせ)のおこたりにこそあめれなど」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
  4. 自分の過失を謝ること。また、そのことば。謝罪。
    1. [初出の実例]「返々、百(もも)かへりおこたりを言ひつくいても」(出典:夜の寝覚(1045‐68頃)四)
  5. 病気がよくなること。

たい【怠】

  1. 〘 名詞 〙 おこたること。なまけること。また、職務上の過失・失態。
    1. [初出の実例]「考問并引唱〈略〉若有乖失随即勘問。副及祐・史各為弁答。問各有其序。答亦有其詞。〈謂〈略〉其事主者称過。従者称怠之類〉」(出典:延喜式(927)一九)
    2. [その他の文献]〔六韜〕

なまけ【怠】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「なまける(怠)」の連用形の名詞化 ) なまけること。仕事に精を出さないこと。
    1. [初出の実例]「けふはお手習はお休かへ、イイエ、ハハアおなまけだね」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)

おこたれ【怠】

  1. 〘 名詞 〙 「おこたり(怠)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「ねぎかん主是をなげき。〈略〉みゆをささげて七ざの物いみ七日のおこたれとござある」(出典:浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)四)

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普及版 字通 「怠」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] タイ
[字訓] おこたる

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は台(たい)。台は厶(し)(耜(すき)の形)を供えて祈る儀礼を示し、怡(よろこ)ぶ意のある字。〔説文〕十下に「慢(あなど)るなり」とあり、怠慢の意とする。諸経注には「懈(おこた)る」「嬾(おこた)る」「壞(やぶ)る」などの訓があり、懈怠することをいう。

[訓義]
1. おこたる、なまける、ゆるむ。
2. あなどる、あきる。
3. おとろえる、くずれる、あやうい。

[古辞書の訓]
名義抄〕怠 オコタル・ユルス・ユルナリ・ハナル・タユム/怠 スサビ 〔字鏡集〕怠 オコタル・ユルス・ハナル・タユム・ヤハラカ・ノコス

[語系]
怠d、怡jiは声近く、同じく心的な状態をいうが、方向が異なる。詒・駘・殆dは怠と同声で、この系統のものには不徳の意が多い。

[熟語]
怠安怠厭怠懈・怠解怠棄怠疑・怠・怠工・怠荒怠傲怠敖怠忽怠散怠弛怠恣怠肆・怠色・怠息・怠惰・怠堕怠沓・怠偸・怠廃・怠放・怠慢・怠・怠礼
[下接語]
過怠・解怠・懈怠・緩怠・戯怠・驕怠・勤怠・怠・惓怠・荒怠・昏怠・浸怠・衰怠・堕怠・惰怠・偸怠・疲怠・慢怠

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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