感覚論(読み)かんかくろん(英語表記)sensationalism

翻訳|sensationalism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「感覚論」の解説

感覚論
かんかくろん
sensationalism

あらゆる認識は感覚に由来するとする哲学理論。経験論の一種。心理学的には,あらゆる精神内容は感覚に還元できるとし,観念連合論に近い。認識論的には,世界についての認識は感覚相互間の関係についての認識に分析でき,またこの分析こそ世界の認識の意味を説明するものであるとして,形而上学的立場に反対する。感覚論的思考は特に近代に発展したが,その萌芽は古代ギリシア哲学,プロタゴラスアリストテレスエピクロスなどにみられ,トマス・アクィナス,W.オッカムなどの中世スコラ哲学のなかに受継がれ,さらに近世の F.ベーコン,T.ホッブズ,J.ロック,G.バークリー,D.ヒューム,J.S.ミル,E.コンディヤックなど,主としてイギリス経験論に開花し今日に及んでいる。

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精選版 日本国語大辞典「感覚論」の解説

かんかく‐ろん【感覚論】

〘名〙 経験論の一種。あらゆる認識の起源およびその妥当性の根拠は感覚的知覚にだけあり、かつて感覚の中になかったものは知性の中にもないという立場。〔現代日用新語辞典(1920)〕

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百科事典マイペディア「感覚論」の解説

感覚論【かんかくろん】

認識の起源,妥当性の根拠を感覚,特に外的感覚に求める哲学的立場。古代ではキュレネ学派,エピクロス学派がこの立場をとった。近代ではロックタブラ・ラサ白紙)説によって基礎をおき,啓蒙主義時代にコンディヤックが体系的に展開して,エルベシウスイデオロジストに継承された。
→関連項目エルベシウス

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デジタル大辞泉「感覚論」の解説

かんかく‐ろん【感覚論】

経験論の一種。感覚的知覚以前には人間の心は白紙の状態であり、いっさいの認識の起源は感覚にあるとする立場。近代の認識論では、イギリスのロック、フランスのコンディヤックに代表される。

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世界大百科事典 第2版「感覚論」の解説

かんかくろん【感覚論】

いっさいの認識は感覚のみに由来すると主張するか,それとも感覚がいっさいの認識の必要,かつ十分な条件であると主張する哲学的立場。sensualisme(感覚論)という用語は19世紀初頭以来,フランスで使われており,フランスの《アカデミー辞典》には,1878年版から採録されている。イギリスでは,sensualistという語は,すでに18世紀以来使用されていたが,この語は語源どおり〈快楽主義的〉〈肉欲主義的〉という軽蔑的意味しかもっていなかった(バークリー《アルシフロン》第2巻,16章)。

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世界大百科事典内の感覚論の言及

【啓蒙思想】より

…啓蒙の認識論のスタンダードを定めたといってもよいロックの経験論から,さらには自然科学的説明方式の力により全面的に依拠したドルバックらの唯物論,人間機械論の哲学にいたるまで,この動向をぬきにしては考えられない。ロックの経験論は,イギリスでは,ヒュームの懐疑論にまで徹底され,またフランスに移植されてコンディヤックの感覚論を生む。ロックやコンディヤックにおいて,エピクロス,ストアの哲学から中世の唯名論を通じて受け伝えられた記号学ないし記号論の発想には,その後今日に通じる新たな展開をみせていることをはじめ,多くの注目すべき点がある。…

※「感覚論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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