プロタゴラス(読み)ぷろたごらす(英語表記)Protagoras

翻訳|Protagoras

デジタル大辞泉 「プロタゴラス」の意味・読み・例文・類語

プロタゴラス(Prōtagoras)

[前490ころ~前420ころ]古代ギリシャの哲学者ソフィストの祖。「人間は万物の尺度である」と説き、各人の主観的判断以外に真理はないとする相対論主張

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精選版 日本国語大辞典 「プロタゴラス」の意味・読み・例文・類語

プロタゴラス

  1. ( Prōtagorās ) 紀元前五世紀の古代ギリシア哲学者。ソフィストの第一人者。「人間は万物尺度なり」とする相対主義の立場をとり、真理の絶対的基準否定。生没年未詳。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロタゴラス」の意味・わかりやすい解説

プロタゴラス
ぷろたごらす
Protagoras
(前490ころ―前420ころ)

古代ギリシアの代表的なソフィスト。トラキア海沿岸の町アブデラに生まれる。30歳ごろからソフィストとしての活動を開始し、40年余りギリシア全土を遍歴、とくにアテネへは頻繁に訪れて、紀元前444年アテネが南イタリアに建設した植民市トゥリオイの憲法起草を委嘱されたと伝えられる。「人間は万物の尺度である。在るものについては在ることの、在らぬものについては在らぬことの」ということばで記録された有名な人間尺度説は、普通、真理の基準を個々の人間の感覚に見立てようとする説と解釈されている。そのため、この説は絶対的な真理の存在を否定し、相対主義を標榜(ひょうぼう)するものとされている。そこで、同等な権利を主張する各人各様の判断のうち、いずれを採択したらよいかという問題になるが、ここで、ソフィストたちの教える弱い議論を強くする術(すべ)である弁論術が、自説を押し出すために必要となってくる。令名はとどろき、彫刻家フェイディアスをしのぐ大金をもうけたと伝えられるが、著作はいずれも失われ、現在残っているのは断片ばかりである。

鈴木幹也 2015年1月20日]

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改訂新版 世界大百科事典 「プロタゴラス」の意味・わかりやすい解説

プロタゴラス
Prōtagoras
生没年:前490ころ-前420ころ

古代ギリシアの思想家で,最も有名なソフィスト。アブデラの出身。国家有数の人物たらんと欲する青少年たちにふさわしい〈徳〉を授けて報酬を得る私的専門教育,すなわちソフィストの術を,一個の職業として確立した人であり,70年の生涯のうち後半40年間にわたって,みずから〈徳の教師〉を名乗りつつ,ギリシア各地を遍歴してすごし,無比の名声を博した。とくにアテナイにはしばしば滞在した。前444または前441年に,アテナイが中心となって南イタリアに大規模な植民都市トゥリオイが建設された際には,新憲法の制定を委嘱されている。数編の著作があったが,わずかな断片しか伝えられていない。有名な〈人間は万物の尺度である〉という言葉は《真理論もしくは打倒論》において主張されたものらしい。プラトンは《テアイテトス》においてその命題をとりあげ,全認識の相対性を意味するものとして,徹底的な分析と批判を行っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロタゴラス」の意味・わかりやすい解説

プロタゴラス
Prōtagoras

[生]前485頃.アブデラ
[没]前410頃
ギリシアの最初期のソフィスト。トラキアのアブデラの人。シチリアとアテネで初めて報酬を取って教えた。プラトンの対話篇『プロタゴラス』に登場し,ソフィスト哲学とプラトン哲学の対立が浮彫りにされている。彼の思想は「人間は万物の尺度である」という命題に集約されるように,認識の相対性を主張し,絶対的な知識,価値,道徳の存在を否定するものであった。物事が真実何であるかということよりも,何かのように思われることが重視され,その結果,他人を説得し状況を自己に有利なように展開する方法が正当化され,弱論強弁を旨とする説得の技術としての弁論術への道を開いた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「プロタゴラス」の解説

プロタゴラス
Protagoras

前480頃~前410頃

代表的ソフィストの一人で「人間は万物の尺度なり」という人間尺度命題で特に有名。いかなることについての判断も判断する当人にとっては正しく,その意味で各人が中心である。だが,そうなると残る道は相手に自説を説得するだけで,そこから「弱い議論を強くする」弁論修辞の学が必要になる。つまり,彼は真理の絶対的基準を否定したのである。

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旺文社世界史事典 三訂版 「プロタゴラス」の解説

プロタゴラス
Protagoras

前490ごろ〜前420ごろ
古代ギリシアの代表的なソフィスト
ソフィストを自称した最初の人で,アテネをはじめギリシアの諸都市を巡回講義し,ペリクレスとも交わった。「人間は万物の尺度である」という彼の言葉は,人間の認識や評価は相対的であるという意味。各個人の知覚を重んじ,宗教・法律など社会のあらゆる権威に価値を認めない立場は,後世の哲学における懐疑論の先駆をなした。

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百科事典マイペディア 「プロタゴラス」の意味・わかりやすい解説

プロタゴラス

古代ギリシアの哲学者。代表的ソフィスト。〈人間は万物の尺度である〉とする相対主義の立場をとり,これを批判したのがプラトンの《テアイテトス》。

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世界大百科事典(旧版)内のプロタゴラスの言及

【ソフィスト】より

…訳して詭弁派ともいう。当時の代表的ソフィストは,プロタゴラス(北東ギリシアのアブデラ出身),ゴルギアス(シチリア島のレオンティノイ出身),ヒッピアスHippias(ペロポネソス半島のエリス出身),プロディコスProdikos(エーゲ海のケオス島出身)などで,このほかエウエノスEuēnos,アンティフォンAntiphōn,トラシュマコスThrasymachosらがいる。彼らの活動は国際的で,アテナイを中心に多くの都市国家をわたり歩き,主として富裕な市民家庭の子弟を相手に,金銭を報酬として教育活動を行って人気を得た。…

※「プロタゴラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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