成人T細胞白血病(読み)せいじんティーさいぼうはっけつびょう(英語表記)adult T-cell leukemia; ATL

共同通信ニュース用語解説 「成人T細胞白血病」の解説

成人T細胞白血病(ATL)

白血球一種T細胞に感染するウイルスHTLV1」が原因白血病母乳性交渉、安全対策前の輸血などで感染する。潜伏期間が数十年と長く、感染者の95%は生涯発症しないが、発症後急速に進行することがある。60歳ごろが発症のピーク。感染者は世界的にも九州沖縄などの西日本に多く、国内で100万人に上るとされる。進行が速い場合は、化学療法骨髄移植などで治療する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「成人T細胞白血病」の意味・わかりやすい解説

成人T細胞白血病
せいじんティーさいぼうはっけつびょう
adult T-cell leukemia; ATL

レトロウイルスの一種である HTLV-1 (ヒトT細胞白血病ウイルス1型) が感染し,このウイルスに特有な pX遺伝子の産物 (pX蛋白質) が引き金となって起ると考えられている白血病。日本の九州,四国地方の一部に多発し,ウイルス感染後 20~30年の長い潜伏期間を経て発病する。このウイルスは ATL由来の培養細胞から京都大学の日沼頼夫らにより発見され ATLVと名づけられたが,その後,カリブ海沿岸の黒人に多い白血病患者から分離された HTLV-1と ATLVが同一のウイルスであることが証明され,どちらも HTLV-1と表記することになった。 HTLV-1は母乳を介する母子感染が多いことから,人工乳を用いる感染防止対策が立てられている。

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