戯る(読み)アザル

デジタル大辞泉 「戯る」の意味・読み・例文・類語

あざ・る【戯る】

[動ラ下二]
たわむれる。乱れ騒ぐ。ふざける。
「酔ひあきて、いとあやしく、潮海のほとりにて、―・れあへり」〈土佐
(多く助動詞「たり」を伴って)打ち解ける。くだけた態度である。
「寄りゐ給へるさま、いと―・れたり」〈・蛍〉
しゃれる。風雅である。
「返しはつかうまつりけがさじ。―・れたり」〈・八七〉
[動ラ四]ふざける。たわむれる。
「その折の首尾少しも隠さず、いちいち―・りて言ふ類なり」〈難波物語

たわ・る〔たはる〕【戯る】

[動ラ下二]
遊び興じる。遊びたわむれる。
「秋くれば野べに―・るる女郎花をみなへしいづれの人か摘までみるべき」〈古今雑体
みだらな行為をする。
人皆のかくまとへればうちしなひ寄りてそいもは―・れてありける」〈・一七三八〉
くだけた態度をとる。また、ふざける。
「公けざまは、少し―・れてあざれたる方なりし」〈藤裏葉
あることに、われを忘れてふける。物事におぼれる。
「ひたすら―・れたる方にはあらで」〈徒然・三〉

そぼ・る【戯る】

[動ラ下二]
ふざける。はしゃぐ。
「うち―・れたるは、さる方にをかしく罪ゆるされたり」〈常夏
しゃれる。気取る。
「今の世の上手におはすれど、あまり―・れて癖ぞ添ひためる」〈梅枝

たわぶ・る〔たはぶる〕【戯る】

[動ラ下二]《「たわむれる」の古形》「たわむれる」に同じ。
「しきたへの床の辺去らず立てれども居れどもともに―・れ」〈・九〇四〉

ざ・る【戯る】

[動ラ下二]ざ(戯)れる」の文語形

たわむ・る〔たはむる〕【戯る】

[動ラ下二]たわむれる」の文語形。

じゃ・る【戯る】

[動ラ下二]じゃれる」の文語形。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「戯る」の意味・読み・例文・類語

たわ・るたはる【戯・狂】

  1. 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. 遊び興ずる。無心に遊ぶ。たわむれる。
    1. [初出の実例]「秋くれば野べにたはるる女郎花(をみなへし)いづれの人かつまで見るべき〈よみ人しらず〉」(出典古今和歌集(905‐914)雑体・一〇一七)
  3. 本気でなく行なう。いたずら心でする。ふざける。
    1. [初出の実例]「おほやけざまは少したはれて、あざれたる方なりし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
  4. 異性にみだらな行為をする。男女がいちゃつく。浮気心で男女が関係する。
    1. [初出の実例]「斯く迷(まと)へれば うちしなひ よりてそ妹は 多波礼(タハレ)てありける」(出典:万葉集(8C後)九・一七三八)
  5. 他を忘れて一途にそれにふける。おぼれて馬鹿のようになる。熱中する。多く色恋におぼれる意で用いる。〔名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「ひたすらたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ」(出典:徒然草(1331頃)三)

あざ・る【戯】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
    1. ふざける。たわむれる。ざれる。
      1. [初出の実例]「かみなかしも、酔ひあきて、いとあやしく、潮海(しほうみ)のほとりにて、あざれあへり」(出典:土左日記(935頃)承平四年一二月二二日)
    2. うちとける。くつろぐ。儀式ばらないでくだける。
      1. [初出の実例]「しどけなくうちふくだみ給へる鬢茎(びむくき)、あざれたる袿(うちき)姿にて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
    3. しゃれる。風流である。気転がきく。
      1. [初出の実例]「返しはつかうまつりけがさじ、あざれたり」(出典:枕草子(10C終)八七)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 ふざける。たわむれる。
    1. [初出の実例]「たとへば、我身にちがひなどあるとき、そのおりのしゅびを、すこしもかくさず、いちいちあざりていふ類也」(出典:評判記・難波物語(1655))

そぼ・る【戯】

  1. 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
  2. たわむれる。ふざける。じゃれる。はしゃぐ。
    1. [初出の実例]「つばいもちゐ・梨・柑子やうの物ども〈略〉若き人々、そほれ取りくふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
  3. しゃれる。きどる。様子がくだけている。
    1. [初出の実例]「書きざま、今めかしうそほれたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)胡蝶)

あじゃ・る【戯】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「あざる(戯)」の変化した語か ) 他をばかにする。また、ふざけたり冗談を言ったりする。
    1. [初出の実例]「彼が此をあじゃってかう作たことなり」(出典:玉塵抄(1563)三七)

たわぶ・るたはぶる【戯】

  1. 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙たわぶれる(戯)

たわむ・るたはむる【戯】

  1. 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙たわむれる(戯)

じゃ・る【戯】

  1. 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙じゃれる(戯)

ざ・る【戯】

  1. 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙ざれる(戯)

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