デジタル大辞泉
「戯る」の意味・読み・例文・類語
あざ・る【▽戯る】
[動ラ下二]
1 たわむれる。乱れ騒ぐ。ふざける。
「酔ひあきて、いとあやしく、潮海のほとりにて、―・れあへり」〈土佐〉
2 (多く助動詞「たり」を伴って)打ち解ける。くだけた態度である。
「寄りゐ給へるさま、いと―・れたり」〈源・蛍〉
3 しゃれる。風雅である。
「返しはつかうまつりけがさじ。―・れたり」〈枕・八七〉
[動ラ四]ふざける。たわむれる。
「その折の首尾を少しも隠さず、いちいち―・りて言ふ類なり」〈難波物語〉
たわ・る〔たはる〕【▽戯る】
[動ラ下二]
1 遊び興じる。遊びたわむれる。
「秋くれば野べに―・るる女郎花いづれの人か摘までみるべき」〈古今・雑体〉
2 みだらな行為をする。
「人皆のかく迷へればうちしなひ寄りてそ妹は―・れてありける」〈万・一七三八〉
3 くだけた態度をとる。また、ふざける。
「公けざまは、少し―・れてあざれたる方なりし」〈源・藤裏葉〉
4 あることに、われを忘れてふける。物事におぼれる。
「ひたすら―・れたる方にはあらで」〈徒然・三〉
そぼ・る【▽戯る】
[動ラ下二]
1 ふざける。はしゃぐ。
「うち―・れたるは、さる方にをかしく罪ゆるされたり」〈源・常夏〉
2 しゃれる。気取る。
「今の世の上手におはすれど、あまり―・れて癖ぞ添ひためる」〈源・梅枝〉
たわぶ・る〔たはぶる〕【▽戯る】
[動ラ下二]《「たわむれる」の古形》「たわむれる」に同じ。
「しきたへの床の辺去らず立てれども居れどもともに―・れ」〈万・九〇四〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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たわ・るたはる【戯・狂】
- 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
- ① 遊び興ずる。無心に遊ぶ。たわむれる。
- [初出の実例]「秋くれば野べにたはるる女郎花(をみなへし)いづれの人かつまで見るべき〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇一七)
- ② 本気でなく行なう。いたずら心でする。ふざける。
- [初出の実例]「おほやけざまは少したはれて、あざれたる方なりし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)藤裏葉)
- ③ 異性にみだらな行為をする。男女がいちゃつく。浮気心で男女が関係する。
- [初出の実例]「斯く迷(まと)へれば うちしなひ よりてそ妹は 多波礼(タハレ)てありける」(出典:万葉集(8C後)九・一七三八)
- ④ 他を忘れて一途にそれにふける。おぼれて馬鹿のようになる。熱中する。多く色恋におぼれる意で用いる。〔名語記(1275)〕
- [初出の実例]「ひたすらたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ」(出典:徒然草(1331頃)三)
あざ・る【戯】
- [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
- ① ふざける。たわむれる。ざれる。
- [初出の実例]「かみなかしも、酔ひあきて、いとあやしく、潮海(しほうみ)のほとりにて、あざれあへり」(出典:土左日記(935頃)承平四年一二月二二日)
- ② うちとける。くつろぐ。儀式ばらないでくだける。
- [初出の実例]「しどけなくうちふくだみ給へる鬢茎(びむくき)、あざれたる袿(うちき)姿にて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
- ③ しゃれる。風流である。気転がきく。
- [初出の実例]「返しはつかうまつりけがさじ、あざれたり」(出典:枕草子(10C終)八七)
- [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 ふざける。たわむれる。
- [初出の実例]「たとへば、我身にちがひなどあるとき、そのおりのしゅびを、すこしもかくさず、いちいちあざりていふ類也」(出典:評判記・難波物語(1655))
そぼ・る【戯】
- 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙
- ① たわむれる。ふざける。じゃれる。はしゃぐ。
- [初出の実例]「つばいもちゐ・梨・柑子やうの物ども〈略〉若き人々、そほれ取りくふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ② しゃれる。きどる。様子がくだけている。
- [初出の実例]「書きざま、今めかしうそほれたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)胡蝶)
あじゃ・る【戯】
- 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「あざる(戯)」の変化した語か ) 他をばかにする。また、ふざけたり冗談を言ったりする。
- [初出の実例]「彼が此をあじゃってかう作たことなり」(出典:玉塵抄(1563)三七)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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