風雅(読み)フウガ

デジタル大辞泉 「風雅」の意味・読み・例文・類語

ふう‐が【風雅】

[名・形動]
高尚で、みやびな趣のあること。また、そのさま。「風雅な住まい」
詩文・書画・茶道などのたしなみのあること。「風雅心得
蕉門で、俳諧のこと。また、その美の本質
「予が―は夏炉冬扇のごとし。衆にさかひて用ゐる所なし」〈風俗文選柴門辞
詩経」の六義りくぎのうちの。また、「詩経」の国風大雅小雅
[類語]風流雅趣雅致閑雅優雅優美高雅典雅優形やさがた上品ゆかしい奥ゆかしいしとやかたおやかみやびやかみやび女性的エレガントドレッシー女らしい女女めめしい女くさい女振り女っ気婉麗えんれい優優典麗麗しい静淑優婉閑雅婉然楚楚そそ窈窕ようちょう端麗温雅物柔らか気高い気品雅趣高尚つつましいつつましやかしおらしい清雅高踏雅致﨟長ろうたけるみやびる端雅都雅やんごとない高貴

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精選版 日本国語大辞典 「風雅」の意味・読み・例文・類語

ふう‐が【風雅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 「詩経」の国風と小雅・大雅。また、「詩経」の六義のうちの風と雅。
    1. [初出の実例]「大凡詩を作るは風雅を本とす」(出典:南海詩訣(1787)詩法雅俗弁)
    2. [その他の文献]〔仲長統‐述志詩〕
  3. 詩歌・文章の道。文芸詞章。また、芸術一般をいう。
    1. [初出の実例]「比興争宣気質衝揚、風雅勧戒煥乎可観」(出典:性霊集‐序(835頃))
    2. [その他の文献]〔梁昭明太子‐文選序〕
  4. 特に、芭蕉および蕉門で、俳諧一般のことをいう。また、その美的境地をもいう。
    1. [初出の実例]「しかも風雅におけるもの、造化にしたがひて四時を友とす」(出典:俳諧・笈の小文(1690‐91頃))
  5. ( 形動 ) 風流で上品なこと。低俗でなくみやびやかなこと。また、そのさま。風流。文雅。
    1. [初出の実例]「打死の髪に蘭奢は武の風雅」(出典:雑俳・万歳烏帽子付合大全(1703))

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普及版 字通 「風雅」の読み・字形・画数・意味

【風雅】ふうが

詩経の国風と大雅・小雅。また、風流。みやび。詩文。梁・昭明太子文選の序〕關雎(くわんしよ)・趾(りんし)、正始はれ、桑・濮(ぼく)上、國の表はる。故に風、粲然(さんぜん)としてるべし。

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改訂新版 世界大百科事典 「風雅」の意味・わかりやすい解説

風雅 (ふうが)

中国の《詩経》の分類にいう六義(りくぎ)(風,賦,比,興,雅,頌)のうちの〈風〉と〈雅〉。中国では,その風,雅をもって《詩経》の詩全体を代表させることが多く,しだいに詩歌文章の道,芸術全般をも〈風雅〉と呼ぶようになった。さらに転じて,風流で上品なこと,低俗でなくみやびやかなこと,またそのさまをもいうようになった。日本でも《風雅和歌集》の序文中に,広く詩文,和歌の意味に用いられ,以後芸術全般を意味する言葉として用いられている。ことに蕉風俳諧の時代になると,俳諧を漢詩,和歌,連歌など伝統的文芸のレベルにまで高めようという芭蕉たちの芸術的自覚にもとづき,〈詩,歌,連,俳は共に風雅なり〉(《三冊子》)などと,俳諧をも風雅と呼ぶようになった。芭蕉は〈つねに風雅の誠を責悟(せめさと)りて,今なす処俳諧にかへるべし〉(同)と教えていたというが,それは〈風雅の誠〉が芸術としての俳諧の第一の存在根拠であると考えられていたからである。
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