改訂新版 世界大百科事典 「戸田海市」の意味・わかりやすい解説
戸田海市 (とだかいいち)
生没年:1872-1924(明治5-大正13)
明治・大正期の経済学者。広島県豊田郡豊田村に生まれる。東京帝大法科政治科選科卒。1899年四高教授,1901年京都帝大法科講師,ついで助教授,海外留学後教授。商業経済学,工業経済学を担当し,社会政策も講義した。《合同カルテル及トラスト》《工業経済》(ともに1910),《日本之社会》(1911)等の著書がある。またJ.S.ミルその他の著書を精読し,広い基盤の上に立って,徹底的に考察した。また大正初めの第1次大戦に際しては日本の世界的発展のために種々画策し,日本の紡績業の中国への進出,とくに在華工場(在華紡)の設立は彼の示唆によるものといわれている。大阪市および京都市商業会議所の調査事業に参画し,労働問題の調査にもあたった。
執筆者:宮本 又次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報