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治安警察法 ちあんけいさつほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

治安警察法
ちあんけいさつほう

明治 33年法律 36号。政治的集会および結社,言論活動などを取締るために 1900年に制定された治安立法。日本の治安立法は 1875年6月に制定された讒謗律 (ざんぼうりつ) ,新聞紙条例に始り,集会条例 (1880) ,保安条例 (87) ,集会及政社法 (90) ,予戒令 (92) などにいたるが,第2次山県内閣はこれら治安立法を集大成し,あわせて日清戦争後,産業経済の急激な発展に伴って台頭してきた労働運動に対処するため治安警察法を制定した。そのおもな内容としては政治に関する結社および政治的集会の届け出義務,軍人,警官,女子,教員,生徒,未成年者などの政治結社への加入禁止,「安寧秩序ヲ保持スル為必要ナル場合」における警察官による屋外集会の制限,禁止,解散,内務大臣による結社の禁止,政治的集会への警察官の臨監など多くの規制が盛られている。なかでも労働争議の抑圧を目的とした 17条の新設が重要であった。しかしこの条項はストライキ権や団体交渉権を制限していたため内外の批判が多く,1926年の第 51議会で削除され,「争議の自由」が確立された。第2次世界大戦後の 45年 11月廃止された。

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デジタル大辞泉の解説

ちあんけいさつ‐ほう〔‐ハフ〕【治安警察法】

集会・結社・大衆運動などの取り締まりを目的として、明治33年(1900)に制定された法律。昭和20年(1945)廃止。

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百科事典マイペディアの解説

治安警察法【ちあんけいさつほう】

旧憲法下で,政治集会,結社,デモなどを取り締まった法律(1900年)。政治結社・集会の届出,女子・教員・軍人などの政治結社加入禁止を定め,集会などの解散権を警察官に与えた。
→関連項目集会結社の自由新婦人協会団結禁止法日本無産党朴烈事件山県有朋内閣

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世界大百科事典 第2版の解説

ちあんけいさつほう【治安警察法】

集会・結社・言論の自由の制限と社会・労働運動の取締りなどを目的とした治安立法。日清戦争後,日本資本主義の発展とともに労働運動は黎明(れいめい)期を迎え,労働組合期成会結成(1897)を起点に労働組合運動の発足と争議の多発化,社会主義研究会の結成(1898)による社会主義の普及が始まった。明治政府は自由民権運動抑圧に用いた刑法270条や集会及政社法,治罪法などでは事態に対応できないと考え,新たな治安立法を作成し1900年3月に公布した。

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大辞林 第三版の解説

ちあんけいさつほう【治安警察法】

集会・結社および労働運動や大衆運動の取り締まりについて規定した法律。1900年(明治33)制定。のち、治安維持法で補完。45年(昭和20)廃止。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

治安警察法
ちあんけいさつほう

集会、デモ、結社などの形態による市民の政治活動を規制し、また、労働・農民運動の抑圧を目的として、1900年(明治33)に制定された法律。その後若干の改正を経たが、1945年(昭和20)11月21日にGHQ(連合国最高司令部)の命令で廃止されるまで存続した。本法は二つの部分からなっている。
 第一の政治活動規制部分は、自由民権運動抑圧のために1880年(明治13)に制定された集会条例をその起源としており、たびたびの改正を経て本法に至った。その内容は以下のようなものである。〔1〕政治集会の開催、政治結社の結成の場合には届出が義務づけられ、当局は「安寧秩序ヲ保持スル為(ため)必要ナル」場合は、自由にこれら集会や結社を禁止・解散させることができた(1~4条・8条)。このため社会主義を標榜(ひょうぼう)する結社などは事実上合法的活動を禁止された。社会民主党(1901)、日本社会主義同盟(1921)に対する結社禁止処分、また三・一五事件を契機とした1928年(昭和3)の労働農民党、日本労働組合評議会などの結社禁止がその代表的例である。また秘密結社も禁止された(14条)。〔2〕軍人、警察官、宗教者、教師、学生などは政治結社に入ることを禁ぜられ、また未成年者と並んで女子は結社ばかりか、集会に参加することも禁ぜられた(5条)。この差別に対しては反対運動が繰り返され、1922年(大正11)ようやく女子の政治集会参加禁止だけは削除された。〔3〕ほかにも集会での発言に対する制限や、警察官の監視などが規定されている。
 本法の第二の部分は、労働・農民運動規制である(17条)。この部分はとりわけ、制定当時ようやく台頭し始めた労働者の運動を萌芽(ほうが)のうちに抑圧しようと、本法で初めて登場した。第17条は労働者などの団結や争議行為そのものを禁止してはいないが、そのために「他人ニ対シテ暴行、脅迫」などをすること、とりわけストライキのために「他人ヲ誘惑若(もしく)ハ煽動(せんどう)スルコト」を処罰することにより事実上それらを禁止するものであった。そのため、労働者からは、この第17条廃止の要求が強く、とりわけ第一次世界大戦以降の強い運動により適用の制限がなされるようになり、1926年ついに同条は削除された。[渡辺 治]

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世界大百科事典内の治安警察法の言及

【婦人参政権運動】より

…政府は女性の政治活動を禁じたのである。 第1次大戦が終結し,国内にはデモクラシーの高まりがみられ,国外では先進諸国で婦人参政権が実現しつつあるという状況のなかで,平塚らいてう,市川房枝は1919年,〈新婦人協会〉の結成を発表し,奥むめおは治安警察法第5条の修正を求める請願を第42帝国議会に提出。1900年に公布された治安警察法は,集会及政社法を引き継いだもので,第5条では,女性の政治結社への加入,政談集会への出席,その発起人になることを禁じた。…

【法制史】より

…また統治機構を社会関係・階級関係に結びつける機構の法的保障として,1899年の農会法,1900年の産業組合法,1902年の商業会議所法などがある。これと対応して,一方では1900年の治安警察法,行政執行法など治安立法が,他方では1911年の工場法(1916施行)などの社会政策立法が展開された。(4)第4期は,確立した法体制が動揺と再編成を迫られた時期であり,最初の本格的な政党内閣としての原敬内閣の成立をみた1918年から31年の満州事変の発生に至る。…

※「治安警察法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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