精選版 日本国語大辞典 「打付」の意味・読み・例文・類語
うち‐つけ【打付】
- [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙
- [ 一 ] 時間的、心理的に、間をおかずに物事が進んだり、行動を起こしたりするさま。
- ① 予期しないうちに、あるいは予備行動もなく、急に物事が進んだり、行動を起こしたりするさま。
- ② ある原因やきっかけによって、物事が急に進んだり、すぐに行動を起こしたりするさま。
- (イ) ふとしたきっかけで、どうしようもなく、にわかに心の進むさま。
- [初出の実例]「郭公人松山になくなれば我うちつけにこひまさりけり〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)夏・一六二)
- (ロ) あることが原因となって、予期以上にすみやかに他の物事が起こったり、行動を起こしたりするさま。即座。てきめん。現金なさま。
- [初出の実例]「さればうちつけに海は鏡のおもてのごとなりぬれば」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月五日)
- (イ) ふとしたきっかけで、どうしようもなく、にわかに心の進むさま。
- ③ 深く考えたり、じっくり観察したりするのではなく、表面だけで、反射的に行動したり、判断したりするさま。
- ④ 対象との間に、心理的に距離をおかないさま。
- (イ) むきだし。露骨。無遠慮。
- [初出の実例]「うちつけのすきずきしさなどは、このましからぬ御本性にて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- 「情をしらぬ人の恋は、何事も打つけにくどき」(出典:仮名草子・好色袖鑑(1682)下)
- (ロ) 直接。端的。ぶっつけ。
- [初出の実例]「お侍様のお口から、打つけには仰られにくきによって」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)一)
- (イ) むきだし。露骨。無遠慮。
- [ 二 ] ぴったりなさま。よく似合うさま。打ってつけ。
- [初出の実例]「こりゃ、おまつどのには打ちつけぢゃわいの」(出典:歌舞伎・梅柳若葉加賀染(1819)五立)
- [ 一 ] 時間的、心理的に、間をおかずに物事が進んだり、行動を起こしたりするさま。
- [ 2 ] 〘 名詞 〙
ぶっ‐つけ【打付】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① ぶつけること。
- ② 「ぶっつけみせ(打付店)」の略。
- ③ 打付店(ぶっつけみせ)の女郎。
- [初出の実例]「吉原に昼三あれば、〈略〉。打附(フッツケ)有は、櫓下佃島あり」(出典:洒落本・辰巳之園(1770)自序)
- ④ はじめであること。また、その時。最初。
- [初出の実例]「甘酒屋と初句をぶっつけに置いた処が不審な点である」(出典:病牀六尺(1902)〈正岡子規〉七一)
- ⑤ ( 形動 ) 遠慮、気がねなどをしないで、事を行なうこと。また、そのさま。端的(たんてき)。
- [初出の実例]「いっそ端的(ブッツケ)に、〈略〉お島さんへ形見にと云ふやうなことで、届けたが可いだらう」(出典:多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前)
- ⑥ ( 形動 ) ぶっつけ本番で事を行なうこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「役があらァ。きり山でやらっし、伊吾がぶっつけの役だ」(出典:人情本・恋の若竹(1833‐39)初)
- [ 2 ] 〘 副詞 〙 そのことが近い将来であるさまを表わす。間もなく。近いうちに。すぐ。