出来心(読み)デキゴコロ

精選版 日本国語大辞典 「出来心」の意味・読み・例文・類語

でき‐ごころ【出来心】

  1. 〘 名詞 〙 計画していたのではなく、その場でふと起こした考え。もののはずみでふらふらと起こった考え。よくないことについていう。できき。
    1. [初出の実例]「よしなき出来(テキ)ころにして、悪事を思い立つこそ因果なれ」(出典浮世草子好色五人女(1686)四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「出来心」の意味・わかりやすい解説

出来心 (できごころ)

落語別名花色木綿(はないろもめん)》《盗人出来心(ぬすびとできごころ)》。原話は《江戸前噺鰻(はなしうなぎ)》(1808)所収の〈ぬす人〉。八五郎の家へ空巣(あきす)ねらいがはいったが,貧乏で何も盗む物がない。そのうちに八五郎が帰ったので縁の下へ隠れた。足跡を見た八五郎は泥棒と知り,たまっている家賃の言い訳にしようと大家を呼ぶ。大家が盗品届をするからと盗まれた品物を聞くので,苦しまぎれに夜具一組と答え柄は表が唐草,裏が花色木綿と言う。それから羽織,着物,蚊帳かや),簞笥品名をならべ,いずれも表は唐草で裏が花色木綿と口から出まかせに言うので,泥棒が飛び出して八五郎を責める。大家が泥棒をとがめると,〈貧の盗みの出来心で……〉とあやまる。大家が八五郎のうそを責めると,〈これも出来心でございます〉。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android