技術士法(昭和58年法律第25号)に基づく国家資格。技術士の名称を用いて、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価、またはこれらに関する指導の業務を行う。英語名はProfessional Engineer。技術士資格を習得するためには、文部科学大臣の指定機関である日本技術士会が実施する第一次試験に合格して技術士補となったのち、指導技術士のもとで実務経験を積み、第二次試験に合格しなければならない。ただし、技術士法に規定された教育課程を修了した者は技術士補となる資格を有する者(第一次試験合格者と同等)と認められ、実務経験を積んだのち、第二次試験を受験することができる。技術部門は、機械、船舶・海洋、航空・宇宙、電気電子、化学、繊維、金属、資源工学、建設、上下水道、衛生工学、農業、森林、水産、経営工学、情報工学、応用理学、生物工学、環境、原子力・放射線、総合技術管理に分かれ、文部科学省の技術士登録簿に登録される。2014年(平成26)3月時点の技術士登録者数は、合計約8万人で、建設部門が約45%を占めている。
技術士の約7割は一般企業に所属し、その他は国や自治体に勤務するか、技術コンサルタントとして自営しており、おもに公共事業の事前調査や設計監理、業務監査のための技術調査、開発途上国への技術指導などを行っている。近年、国際的なエンジニア制度との関連や、産業技術の高度化を踏まえ、複数の専門技術を横断的に解決できる技術士が必要になっており、文部科学省の科学技術・学術審議会では、資格制度の見直しや改革の検討を進めている。
[編集部]
技術士という名称を用いて,科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項について計画,研究,設計,分析,試験,評価またはこれらに関する指導の業務を行う者(技術士法--1957公布--2条)をいう。技術士になるためには,理学,工学,農学,医学等の自然科学の科学部門ごとの予備試験と,機械,船舶,電気,化学,建設,衛生工学,農業,林業,水産,経営工学,情報処理,応用理学などの技術の部門ごとの本試験に合格し(3~7条等),科学技術庁に備えられている技術士登録簿に登録されなければならない(14~16条)。技術士は,その名称を独占して使用することが認められているが(39条),技術士でない者が同様の業務を行うことを禁止するものではなく,通常の資格者と異なる。高等技術・経営コンサルタントとしての独立した技術士業を営む者は少なく,企業内において高級技術者として雇用されている場合が多いのが実情である。
執筆者:福家 俊朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(高橋真理子 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…近年,出願の激増等から審査の停滞などが目だっているので,制度の改善,事務の大幅な合理化などが進められようとしている。このほか依頼に応じて技術相談,技術指導を行う専門家を,国が審査し公認する技術士の制度がある。 技術交流は世界的にも活発になりつつあるが,戦後これまでの日本の経済発展において外国技術導入の果たした役割は大きい。…
※「技術士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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