指輪と本(読み)ユビワトホン(英語表記)The Ring and the Book

デジタル大辞泉 「指輪と本」の意味・読み・例文・類語

ゆびわとほん【指輪と本】

《原題The Ring and the Bookブラウニングによる長編詩。1868年から1869年にかけて刊行。全12巻。17世紀のイタリア実際に起きた殺人事件裁判記録素材とした作品

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「指輪と本」の意味・わかりやすい解説

指輪と本
ゆびわとほん
The Ring and the Book

イギリスの詩人ロバート・ブラウニングの長詩。全12巻よりなり、1868年から1869年にかけて四冊に分けて出版。1860年6月にフィレンツェで入手した17世紀末イタリアの殺人事件の裁判記録を素材に、得意の「劇的独白」を用いて書き上げた作品。被害者ポンピリア、彼女を愛し救おうとしたカポンサッキ、加害者グイド、教皇インノケンティウス12世その他の裁判関係者、ローマ市民の代表などが登場、こもごも語ることで、さまざまな角度から事件に照明があてられる。

戸田 基]

『小田切米作訳『指環と書物』(1957・法政大学出版局)』

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改訂新版 世界大百科事典 「指輪と本」の意味・わかりやすい解説

指輪と本 (ゆびわとほん)
The Ring and the Book

イギリスの詩人R.ブラウニングの2万0934行の悲劇詩。全4巻。1868-69年刊。フィレンツェの貴族が妻を殺害し処刑される。その裁判で10人の登場人物がそれぞれ意見を述べる一連の〈劇的独白〉の形式をもち,事件と人間心理の複雑さと多様性を浮彫にした名作。題の〈本〉とはブラウニングが町で買った羊皮紙古本で,その中に題材となったこの事件が述べられている。金と合金を混ぜて指輪を作るように,複数の視点を混ぜ合わせて物語を構成している。
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世界大百科事典(旧版)内の指輪と本の言及

【ブラウニング】より

…大正時代の青年層に広く歓迎された厨川(くりやがわ)白村《近代の恋愛観》(1922)もこの影響である。妻の死後,イギリスに帰り《劇的人物》(1864),《指輪と本》(1868‐69)を出して最高の詩的円熟を示した。いずれも人物の精密な心理解剖により複雑な人間の心の動きを追求した大作である。…

※「指輪と本」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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