挫滅症候群は、筋肉が持続的に圧迫されたために血流障害が起こり、その筋肉が麻痺を起こすだけではなく、
阪神・淡路大震災では、倒壊した建物や家具の下敷きになって多発し、注目を集めました。このような災害以外では、まれに交通事故などで何かにはさまれ、救出までに時間を要した場合にも発症します。
両下肢の挫滅症候群では、両下肢が麻痺していることから
意識がはっきりしていて、血圧が保たれていると、一見軽症にみえますが、崩壊した筋肉から放出される大量のカリウムにより、突然、心停止に陥ることがあります。
診断は、はさまれていた、下敷きになっていた、という受傷機転(きっかけ)と損傷部の
検査では、代謝性アシドーシス、血液濃縮、高カリウム血症、高クレアチンキナーゼ血症、低カルシウム血症、凝固障害などの異常が現れます。
乳酸加リンゲル液の大量輸液による体液・電解質の補正を行います。高度で持続する高カリウム血症には、緊急の血液
損傷肢の腫脹は、時間がたつとともに進行します。組織圧が50㎜Hgを超えれば
外傷を負ってから救出までに時間がかかり、治療が遅れた場合は、軽症でも腎不全が必ず起こります。阪神・淡路大震災では、腎不全に陥ったあと、さらに
レスピレーター(人工呼吸器)による呼吸管理と人工腎による血液浄化を行うことで、腎機能は通常2~3週間で回復してきます。
吉岡 敏治
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…外傷性ショック死のうち,受傷直後にショックによって死亡するものはほとんど疼痛などによる神経性ショック死であるが,交通事故やけんかや幼児虐待の場合に,全身に負傷し,数時間から1日でショックを起こして死亡するものがある。このうち,広範に筋肉が挫滅されて生じるものは挫滅症候群といわれる。麻酔ショック死は麻酔剤によって循環や呼吸の中枢あるいは末梢神経が麻痺して,ショック死するものである。…
※「挫滅症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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