精選版 日本国語大辞典 「掛合・懸合・駆合」の意味・読み・例文・類語
かけ‐あい ‥あひ【掛合・懸合・駆合】
〘名〙
※平家(13C前)七「平家は定て大勢なれば、〈略〉、かけあひのいくさにてぞあらんずらん」
② 互いに関係し合うこと。かかわり合うこと。
※浮世草子・好色訓蒙図彙(1686)上「かけあひの男に銭をさきえと手をいだす」
③ 要求などを話し合うこと。談判。交渉。
※硝子戸の中(1915)〈夏目漱石〉三三「時候の挨拶、用談、それからもっと込み入った懸合(カケアヒ)」
④ 物事をかわるがわる行なうこと。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「息子どのの寝言と掛合(カケヱヘ)にギリギリ歯を咬(か)む」
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一一「迷亭と独仙が妙な掛合をのべつにやって居ると」
⑤ 能の構成の一小段。出演者(多くの場合シテとワキ)が互いに問答のあと、拍子に合わないサシ調の謡(うたい)で応対すること。
⑦ 義太夫浄瑠璃を二人以上の語り手が登場人物を分担して語ること。
⑧ 「かけあいばなし(掛合話)」の略。
⑨ 「かけあいぜりふ(掛合台詞)」の略。
※黄表紙・玉磨青砥銭(1790)「祐成(すけなり)の役をつとむるはかなつんぼ、時宗は鼻くた、かけ合のせりふ甚だ不都合にて」
※俳諧・誹諧名目抄(1759)「かけ合(カケアヒ) 心のかけ合、詞のかけ合、てにはのかけ合とてあり」
⑪ あり合わせのもの。また、あり合わせの材料で作った食事。
※俳諧・本朝文選(1706)一・辞類・四季辞〈許六〉「魂祭ころ、旦那寺の小僧、棚経とてよみありく。物喰せ酒のませ、やがてかけ合に、一粒包みてやれば、まだはづかしと思へる、いとあはれなり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報