翻訳|occultation
月が恒星や惑星などの前にきて、それらの天体を隠す現象。日食、月食に対して星食ともよぶ。明るい恒星の掩蔽はめったにおこらないが、月の通り道である白道に近いレグルス、スピカ、アンタレス、アルデバランなどの1等星は比較的多く掩蔽される。6等星ぐらいまでの恒星の掩蔽は毎年数十回見ることができる。月が明るいと暗い星の掩蔽は見にくく、満月前は月の欠けた暗い縁に入るので見やすいが、満月後は明るい縁に入るので見にくい。恒星はほとんど点光源のように見え、瞬間的に隠れ、また現れるので、その時刻の測定は、月の位置や運動の研究上重要視されてきた。しかし月の形は真円ではなく、山や谷の凹凸があるので、問題は複雑である。近年は月の周縁の凹凸がかなり詳しく調べられており、月の北や南の端を恒星がかすって通るいわゆる接食の観測が重要視されている。
惑星が月に隠されることもあり、また惑星が恒星を隠すこともある。これらも掩蔽の一つである。木星や土星のように濃い大気をもつ惑星が恒星を掩蔽するときは、恒星がしだいに暗くなるようすから大気の性質の研究に役だったこともあるし、1977年には天王星が恒星を隠したときの観測から、天王星に細い環が発見された。さらに小惑星による恒星の掩蔽も近年盛んに観測され、そのなかから衛星のようなものがある小惑星も発見されている。
[村山定男]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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…掩蔽(えんぺい)ともいう。月や惑星が恒星,惑星,衛星を隠す現象。…
※「掩蔽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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