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摺仏 すりぼとけ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

摺仏
すりぼとけ

仏教版画の一種。仏,菩薩,天部などの尊像木版に彫り,墨,朱などをつけ,紙を当てて,上からこすって印刷したもの。印仏と同様,多数仏供養の功徳を得ようとするもので,仏像の胎内に納入されることが多い。大和成身院旧蔵の『毘沙門天像』が応保2 (1162) 年の年記を有し,制作年代の判明する最古の例。同じく平安時代後期の京都浄瑠璃寺蔵『阿弥陀如来像』の胎内に納められていた『阿弥陀如来坐像』など多数の遺品がある。鎌倉・室町時代には大型の一枚刷り版画で彩色仏画下図を刷るなど,安易に大量の仏画を得る手段としても活用された。

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百科事典マイペディアの解説

摺仏【すりぼとけ】

主に木版で印刷した仏画。中国では唐代から盛行,日本では鎌倉時代以降,特に流行した。造仏が功徳とされ,千体仏供養などが盛んになるにつれ,一度に多数の仏像をつくることができる木版が用いられたもの。
→関連項目胎内仏

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世界大百科事典 第2版の解説

すりぼとけ【摺仏】

仏教版画の一つ。小型の板木を印を捺(お)すように紙などに押して作ったものを印仏といい,それ以外の摺写したものを摺仏という。大型で細密な摺仏は中国では唐代9世紀末の遺品が知られ,宋代雍熙元年(984)銘の弥勒菩薩像が清凉寺釈迦如来像の胎内から発見されている。日本では1164年(長寛2)完成の蓮華王院(三十三間堂)千体千手観音像に納入されていた千手二十八部衆像ほかが古例として知られ,鎌倉時代以後,版は大型化して等身大のものも現れ,室町時代には摺写した描線の上に筆彩を加えた大型細密の作品が仏画の代用品として多く制作された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

摺仏
すりぼとけ

仏教版画の一種で、仏(ぶつ)、菩薩(ぼさつ)、明王(みょうおう)、諸天などの像を板に彫り、墨や朱をつけ、紙や絹に摺り写したもの。「しゅうぶつ」とも読み、印仏という場合もある。古くインドで行われており、泥像を紙や布に印したものらしい。摺仏は中国でも唐代から流行し、敦煌(とんこう)や西域(せいいき)に遺品がみられる。日本では平安時代から行われ、単純な木版技法により、彩色もないのが普通である。一体だけを描いたり、数体を彫った群像もあるが、あまり大型の本格的な版は摺仏とはいわない。仏像の胎内などに納め、多くの結縁(けちえん)者や祈願を示すため、まとめて納入することが多い。摺仏は版の上に紙を当てて摺り、印仏はスタンプ式に押すものともいうが、どちらともいえないものもあり、古く平安時代などには区別がなかったようなので、印仏も摺仏の一部といえよう。[佐藤昭夫]

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世界大百科事典内の摺仏の言及

【印仏】より

…日本では一般化しなかったが〈砂上印仏〉と題する詩が814年(弘仁5)撰の《凌雲集》にあり,その修法自体は伝わっていたらしい。 印仏は紙面に捺印するため印面の大きさに限度があり,大型のものは,紙を版木の上に置いて刷るいわゆる摺仏(すりぼとけ)の技法によって制作される。しかし,印面の長辺が10cm程度のものの場合は,捺して印仏とすることも,刷って摺仏とすることも,また印仏として捺しながらこれを滑らせて墨付きをよくすることも可能であり,遺品によっての両者の区別は必ずしも明瞭ではない。…

【仏画】より

…また絹の刺繡によるものを繡像(繡帳),綴織を織成像(当麻寺《当麻曼荼羅》)という。(7)仏教版画 中国宋代や,日本の平安後期には,信仰が庶民に広がり,安価に調達できる摺仏(すりぼとけ)(板仏の上からこする)や印仏(捺印する)が普及し,鎌倉時代に流行した。室町時代になり庶民信仰が発達すると,仏画を描く代りに仏教版画が多量に制作され,それに彩色を加えるなど,新時代の要請に応ずることになった。…

※「摺仏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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