印仏(読み)いんぶつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

印仏
いんぶつ

仏教版画の一種。仏,菩薩天部などの尊像木版に彫り,墨または朱をつけて紙などに押して印刷したもの。1つの版を用いて多数押し並べるのが普通。摺仏とは版の大きさや印刷の方式が異なる。中国で唐末,五代にかけて印塔,印仏が盛行し,日本でも平安時代から始り,鎌倉時代以降の遺品が多い。多数の仏像を造ることによって功徳を得ようとする千体仏供養の信仰に基づくもの。一仏造立のうちに多仏造顕の功徳を求めて,仏像の胎内 (→胎内仏 ) に納入されることが多い。

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世界大百科事典 第2版の解説

いんぶつ【印仏】

仏像を陽刻した小型の版木を印を捺(お)すように紙等に押して作った仏教版画。版木はふつう木製だが,文献によればインド,中国には,泥・銅製のものもある。多くは墨をつけて捺すが,朱を用いる例もあり,中世以後にはこれらに筆で彩色を加える例もある。紙に捺すことが一般的だが,経典等によれば7世紀のインド,中国には念誦しながら版木を水面,砂,空中の香煙等にくり返し捺すという,観想的な印仏の修法があった。日本では一般化しなかったが〈砂上印仏〉と題する詩が814年(弘仁5)撰の《凌雲集》にあり,その修法自体は伝わっていたらしい。

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大辞林 第三版の解説

いんぶつ【印仏】

捺印の方式による一種の仏教版画。一板に陽刻した仏像に朱・墨を塗して紙布に捺印して作る。最も簡便・安価な造像法の一つで、わが国では平安末から室町期にかけて盛行。摺仏に比し一般に小さい。

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世界大百科事典内の印仏の言及

【印刷】より

…こうした護符を帯びると身に災害が及ばないという。仏教が伝わってくると,仏教徒のあいだでも同じようなことが行われたが,仏教では特に供養のため〈印仏〉を作ることが行われた。これは小さな仏像をいくつも1枚の紙に捺印するのである。…

【仏画】より

…また絹の刺繡によるものを繡像(繡帳),綴織を織成像(当麻寺《当麻曼荼羅》)という。(7)仏教版画 中国宋代や,日本の平安後期には,信仰が庶民に広がり,安価に調達できる摺仏(すりぼとけ)(板仏の上からこする)や印仏(捺印する)が普及し,鎌倉時代に流行した。室町時代になり庶民信仰が発達すると,仏画を描く代りに仏教版画が多量に制作され,それに彩色を加えるなど,新時代の要請に応ずることになった。…

【木版画】より

…印刷法は大別して3通りである。(1)印仏や印鑑のように紙に版面を下にして版を押捺する方法で,これは小型の版に限られる。(2)上向きに置かれた版に紙を置き,紙の背面から手のひらやへらによって(初期的な方法),次いで,馬の毛のブラシやタンポンやバレンのようなものによって捺摺する方法。…

※「印仏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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