邪気・穢気をはらう呪力を持つとされた長い木の棒。鉄製で突起などをつけたものを鉄撮棒(かなさいぼう)という。先を丸くくびれさせた形状からみて,陽物をかたどったものと推定される。従僧・法師が警固のために担う棒,祇園会のさい犬神人(いぬじにん)が持つ棒,刑吏としての放免が担ぐ鉾,非人の長吏の突く棒など,みな撮棒あるいはその変形である。《峯相記》や《太平記》は撮棒・鉄撮棒を駆使する悪党・悪僧を描いているが,これは飛礫(つぶて)と同様,撮棒の持つ破邪の力が武器として用いられたもので,中世後期,その呪力が衰えるとともに,棒を使う兵法,棒術がそこから生まれてくる。長刀や〈かぶき者〉の持つ大刀もその流れをくむものと思われる。一方,それは子どもたちが若い女性,嫁の尻を打ち歩くときの〈山の神のさいでん棒〉や〈さいまる棒〉,綱引競技に若者頭が手に持つ〈ざいふり棒〉などとして,民俗の世界に長く生命を持ちつづけている。
執筆者:網野 善彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
略称 EEZ。沿岸国が水産資源や海底鉱物資源などについて排他的管轄権を行使しうる水域。領海を越えてこれに接続する区域で,領海基線から 200カイリの範囲をいう。沿岸国は,水中ならびに海底と地下の天然資...
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