放射線医学(読み)ほうしゃせんいがく(その他表記)radiology

翻訳|radiology

日本大百科全書(ニッポニカ) 「放射線医学」の意味・わかりやすい解説

放射線医学
ほうしゃせんいがく
radiology

放射線生体に与える影響の研究や、放射線または放射性物質を医療に応用する学問分野の総称基礎医学分野として放射線物理学放射線生物学を含み、臨床医学分野としては放射線診断学、放射線治療学、核医学に分けられることが多い。さらに、自然環境や医療から受ける放射線の被曝(ひばく)線量の測定およびその影響調査、放射線防護や安全管理など、社会医学的な分野も含まれ、その内容は多岐にわたる。

 臨床医学においては、放射線を用いない磁気共鳴MR)や超音波を利用した画像診断、さらに画像ガイド下で行う局所治療(インターベンショナル・ラジオロジー:IVR)も放射線診断学の一領域として扱われている。核医学には放射性同位体ラジオ・アイソトープRI)を用いた診断・治療があり、PET(ペット)(陽電子放出断層撮影)検査はその代表的な検査の一つである。

[岸本理和 2021年11月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「放射線医学」の意味・わかりやすい解説

放射線医学 (ほうしゃせんいがく)
radiology

本来は電離放射線X線,α線,電子線,γ線など)を利用する医学の分野を総称する言葉で,放射線物理学,放射線生物学を主とする放射線基礎医学と,X線診断学,ラジオアイソトープ(放射性同位体)を用いる核医学診断学,放射線治療学から成る臨床放射線医学とに大別される。臨床放射線医学は診療科名としては〈放射線科〉とよばれ,これを専門とする医師は〈放射線科医radiologist〉とよばれる。日本医学放射線学会の会員は約7700人程度(2005年)である。最近の急速な医学の発達に伴い,超音波,核磁気共鳴現象,サーモグラフィーのような電離放射線ではない媒体を利用する医療も出現し,これらをも放射線医学の一分野として包括的に取り扱う場合もあり,欧米の多くの臨床施設や日本の一部の施設では超音波画像診断,核磁気共鳴画像診断,サーモグラフィー診断なども放射線科で取り扱うことが普通になっている。このため最初に述べた〈放射線医学〉の概念は,厳密な意味では正確さを欠くようになってきている。
X線検査 →核医学
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「放射線医学」の意味・わかりやすい解説

放射線医学
ほうしゃせんいがく
radiology

X線や放射性同位元素を用いて診断し,X線やγ線その他の電離放射線などを用いて治療する,臨床医学の一分野。一般に放射線診断学,核医学,放射線治療学の3つに分けられる。この分野の最近の進歩はめざましく,コンピュータ断層撮影,放射性医薬品,核医学診断装置,中性子照射装置などの開発と枚挙にいとまがない。病院内では,放射線科はほとんどすべての臨床科と密接に関係するために,中央化されることが多くなった。こうした動きに対応して,日本でも放射線専門医制度を取入れ,その確立を急いでいる。また,放射線医学に関連した物理学 (放射線物理学) ,種々の放射線障害の研究,放射線を利用した生物学 (放射線生物学) などの進歩も著しく,放射線基礎医学という独立した分野が出現した。

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