日本大百科全書(ニッポニカ) 「方キューバ鉱」の意味・わかりやすい解説
方キューバ鉱
ほうきゅーばこう
isocubanite
硫化鉱物の一つ。1988年フランスのカイユRené Cayeらによって、北緯21度付近の東大西洋海嶺(かいれい)および紅海海底にあるスモーカー(深海で熱水からの沈殿物が堆積(たいせき)した煙突状の構造物)周辺の堆積物中に発見された新鉱物で、キューバ鉱と同質異像関係にある。200℃以上の高温生成物の急冷相にあたり、天然のキューバ鉱を200~270℃に加熱すれば得られる。銅に乏しい黄銅鉱の微小離溶体を含む微細粒として、ウルツ鉱、黄鉄鉱とともに産し、まれに斜方十二面体を基調とする立体をなす。その後ロシアの西シベリア、ノリリスクNoril'sk地方のタルナフTalnakh鉱床から1965年に発見されていた、鉄および銅硫化物と同一相であることも判明した。命名はキューバ鉱との関係に由来する。
[加藤 昭 2018年10月19日]