方キューバ鉱(読み)ほうきゅーばこう(英語表記)isocubanite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「方キューバ鉱」の意味・わかりやすい解説

方キューバ鉱
ほうきゅーばこう
isocubanite

硫化鉱物の一つ。1988年フランスのカイユRené Cayeらによって、北緯21度付近の東大西洋海嶺(かいれい)および紅海海底にあるスモーカー深海熱水からの沈殿物が堆積(たいせき)した煙突状の構造物)周辺の堆積物中に発見された新鉱物で、キューバ鉱と同質異像関係にある。200℃以上の高温生成物の急冷相にあたり、天然のキューバ鉱を200~270℃に加熱すれば得られる。銅に乏しい黄銅鉱の微小離溶体を含む微細粒として、ウルツ鉱黄鉄鉱とともに産し、まれに斜方十二面体を基調とする立体をなす。その後ロシアの西シベリア、ノリリスクNoril'sk地方のタルナフTalnakh鉱床から1965年に発見されていた、鉄および銅硫化物と同一相であることも判明した。命名はキューバ鉱との関係に由来する。

加藤 昭 2018年10月19日]


方キューバ鉱(データノート)
ほうきゅーばこうでーたのーと

方キューバ鉱
 英名    isocubanite
 化学式   CuFe2S3
 少量成分  Zn
 結晶系   等軸
 硬度    4(ビッカース硬度から換算
 比重    3.99((Fe,Cu,Zn)3.95S4として計算
 色     青銅
 光沢    金属
 条痕    未記載
 劈開    未記載。恐らく無
       (「劈開」の項目参照
 その他   天然物の分析値は上記化学式よりややCuに乏しくFeに富む

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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