日本大百科全書(ニッポニカ) 「キューバ鉱」の意味・わかりやすい解説
キューバ鉱
きゅーばこう
cubanite
黄銅鉱とともに銅鉱石を形成することのある硫化鉱物。正マグマ性鉱床、高温熱水鉱脈鉱床、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)、変成含銅硫化鉄鉱床中などに産し、磁硫鉄鉱とも共存する。日本では京都府大江町(現、福知山(ふくちやま)市大江町)河守(こうもり)鉱山(閉山)、岩手県釜石(かまいし)鉱山などが産地として有名。スモーカー(深海で熱水からの沈殿物が堆積(たいせき)した煙突状の構造物)の周辺堆積物中から発見された方キューバ鉱はほぼ同一組成の等軸相であるが、同質異像関係といえるほど化学的に同一でなく、キューバ鉱より銅に乏しく鉄に富む。多くの場合、高温条件で生成された黄銅鉱との固溶体の冷却により、その離溶産物として生成され、自形は斜方板状ないし細柱状。天然物を真空中で加熱すると、約250℃で方キューバ鉱相当相に転移する。命名は原産地キューバにちなむ。
[加藤 昭]