紅斑熱リケッチアの一種であるリケッチア・ジャポニカRickettsia japonicaを病原体とするリケッチア症の一種。マダニが病原体を媒介するため、マダニ感染症の一種でもある。この種の感染症は全世界でみられ、北米のロッキー山紅斑熱のほか、地中海紅斑熱やオーストラリアのクイーンズランドマダニチフス、シベリアマダニチフスなどが知られている。日本紅斑熱は1984年(昭和59)に馬原文彦(まはらふみひこ)(1941― )によって初めて報告され、その後四国や九州を中心とする西日本の太平洋側の温暖な地域に多く発症例が報告されている。マダニは成虫だけでなく幼虫や若虫も吸血性で、野山の植物の葉陰に生息し野生動物や家畜にも寄生するため、春から秋にかけての活動期に野外で感染することが多い。日本紅斑熱の病原リケッチアはキチマダニやフタトゲチマダニなどが媒介すると考えられているが、ほかにヤマトマダニなどの媒介も疑われている。
発症までの潜伏期間は2日~1週間ほどで、高熱と特徴的な発疹(ほっしん)、およびダニによる刺し口が認められることが特徴的な3徴候とされ、ほかに全身倦怠(けんたい)感、頭痛や悪寒(おかん)などを伴う。発疹は手足や手掌など四肢末端部および顔面などに出現する特徴があり、さらに求心性に広がる。治療はテトラサイクリン系抗菌薬が第一選択で、ニューキノロン系薬も一定の効果があるとされる。
[編集部]
病原体は、日本特有のリケッチアの一種リケッチア・ジャポニカで、野山に入り、このリケッチアをもつマダニに刺されて感染します。
主に西日本で春~秋にかけて年間約40名の患者さんが報告されています。治療が遅れると重症化し、死亡することがあります。
潜伏期間は2~8日で、頭痛、発熱(39℃)、
検査所見では、CRPの上昇、肝酵素の上昇、白血球減少および血小板減少などがみられます。血清抗体を測定して確定診断が行われています。
症状から本症を早期に疑い、適切な抗菌薬を投与することが重要です。予防は発生時期および発生地を知り、汚染地域に立ち入らないことです。やむを得ず立ち入る際には皮膚の露出を避け、ダニ
岸本 寿男
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
(2019-5-21)
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