改訂新版 世界大百科事典 「日本製鋼所」の意味・わかりやすい解説
日本製鋼所[株] (にほんせいこうしょ)
かつては兵器メーカーとして知られた鋳鍛鋼の会社。1907年に北海道炭礦汽船とイギリスのアームストロング・ウィットウォース社,ビッカース社の3社共同出資により,大型高級鋼および兵器製造を目的として設立された(株の世界で日本精工等と混同しないよう〈アーム〉と呼ぶのは,このアームストロング社にちなむ)。民間唯一の兵器製造企業として各種兵器,鋳鍛鋼品,船舶用品を製造,当初は日露戦争後の不況で経営は不振だったが,第1次大戦の勃発で活況を呈した。その後ワシントン軍縮会議後の不振期を経て,満州事変,第2次大戦で発展したが,終戦で兵器生産にピリオドを打ち,以降民需に転換した。50年存続第2会社として現社設立。76年鹿島工場竣工。主要株主に三井系金融機関が並ぶことでもわかるように三井系企業である。原子力分野,射出成形機など多角経営をすすめた結果,現在の売上構成は,機械製品63%,鉄鋼製品36%など(2005年3月期)となっている。資本金197億円(2005年9月),売上高1583億円(2005年3月期)。
執筆者:下田 雅昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報