2001年4月に設立された独立行政法人。1950年に貿易保険法が成立し、輸出の振興のために経済産業省(旧通商産業省)が担ってきた貿易保険事業を引き継いだ。17年4月には経産省が100%出資する株式会社に移行する。国の信用力を背景に民間の損害保険会社がカバーできないリスクを引き受けている。14年度の保険料収入は746億円で、支払保険金は31億円だった。
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貿易保険を取り扱う経済産業省100%出資の株式会社。英語名はNippon Export and Investment Insurance、略称はNEXI(ネクシー)。貿易保険法(昭和25年法律第67号)に基づいて2017年(平成29)設立。本社は東京都千代田区西神田。
貿易、海外投資などの対外取引において、取引先での契約不履行・支払不能・破産等の信用危険、輸入制限・戦争・企業の国有化・支払不履行(モラトリアム)・為替(かわせ)制限等のカントリー・リスク(非常危険)、為替変動に伴う為替リスクなどによる損失を保険がカバー(填補(てんぽ))することにより、企業は安心して海外との取引を進めることができるようになる。それに対応するため、1950年(昭和25)に輸出信用保険法が制定され、政府が保険者となる保険を創設した。国が特別会計によって再保険を引き受ける制度という、当時、日本独自の輸出拡大政策であった。同法は、1953年に輸出保険法、1987年に貿易保険法に改称。1999年(平成11)、貿易保険法の一部が改正され、貿易保険は独立行政法人が取り扱うこととなったため、経済産業省の貿易経済協力局貿易保険課等から、業務や物品のうち、経済産業大臣が指定するものに関する権利および義務を引き継ぎ、2001年に独立行政法人としてNEXIが設立され、貿易保険法の運用、法による政策施行にあたることになった。
2017年に、NEXIは政府100%出資の株式会社に移行し、これまでの国の予算である貿易再保険特別会計による再保険の仕組みを廃止した。一方、非常時にも保険金の確実な支払いを担保するため、NEXIの資金調達が困難な場合には政府が必要な財政上の措置を講ずることになっている。民間保険が引き受けられないリスクをカバーするという公的な使命に変わりはなく、貿易保険による貿易振興、グローバル化の一翼を担っている。
[河野公洋 2020年6月23日]
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