恒星目録(読み)こうせいもくろく(英語表記)star catalogue

精選版 日本国語大辞典 「恒星目録」の意味・読み・例文・類語

こうせい‐もくろく【恒星目録】

  1. 〘 名詞 〙 恒星のおのおのの位置光度などをある規則に従って表記したもの。恒星の位置を表記した位置恒星目録と、恒星の特性を表記した特性恒星目録とに大別される。現存する最古の恒星目録はプトレマイオスの天文書「アルマゲスト」に見えるヒッパルコスのもので、一〇二八個の位置と光度が記載されている。星表恒星表

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「恒星目録」の意味・わかりやすい解説

恒星目録
こうせいもくろく
star catalogue

恒星の天球上の位置,明るさ (等級) ,スペクトル型視線速度固有運動視差その他の特性のうち目的に応じて数種類の資料を記載した一覧表。現在までに無数の星表や星図がつくられてきたが,同じ星がいくつかの星表に異なる命名法で記載されていることも多い。現在知られている最古の星表としては,前 129年にヒッパルコスのつくった約 850星の天球上の位置の星表がある。これはプトレマイオスにより引継がれ,140年に彼の『アルマゲスト』に 1028個の恒星の改良された位置と等級が載せられた。望遠鏡発明以前の時代の最後でかつ最も精密な星表は T.ブラーエが 1580年につくった 1050個の恒星の表で,のちに J.ケプラーのルドルフ表にも含まれた。ブラーエの星表は,星座内での星の相対的な明るさを示すためにギリシア文字を用いた最初のものであった。 J.フラムスティードは 1712年に 2935個の恒星を含む星表をつくり,彼の死後 1925年に『英国天体史』として公にされた。フラムスティードにより,星座内で赤経順に番号をつけられた星の名の一部は現在でも使われており,たとえばはくちょう座 61番星ははくちょう座のなかで 61番目に大きな赤経をもつ星という意味である。現在用いられている星表のうち重要なものは,まずドイツの F.アルゲランダーにより編纂され,1859~62年に出版された『ボン恒星目録』 (星数 32万 4198) ,その延長で 86年に E.シェーンフェルトによる『南天恒星目録』 (星数 13万 3659) ,アルゼンチンでつくられた『コルドバ恒星目録』 (星数 61万 3953) ,J.カプタインたちにより 96~1900年に出版された『ケープ写真掃天星表』,14~56年に出版された『エール星表』,ドイツ天文学会を中心に欧米の 12天文台が協力し,1890~1910年に出版された『アーゲー帯恒星目録』 (略称 AG,星数約 14万) およびその改訂版で 51~58年に出版された『AGK2』,75年の『AGK3』などがある。以上はおもに位置の星表で,より精密な位置の基準星表としては,1879年に出版された『FK星表』から現在使われている『FK5星表』がある。光度の星表としては,『ハーバード光度測定』 (星数4万 5792) ,それを受継いだエール大学の『輝星星表』,またスペクトル型の恒星目録として有名なものに,1918~24年に出版された『HD星表』 (星数約 22万) などがある。恒星の三角視差の星表としては,52年に出版された『三角視差総合目録』 (星数 5822) ,視線速度の星表としては,53年に出版された『視線速度総合目録』 (星数1万 5107) が現在でもよく使われる。変光星の星表としては,ソ連科学アカデミーの責任で 48年からほぼ 10年ごとに『変光星総合目録』が出版され,69~71年に出版された第3版の星数は2万 448個であった。

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