資金決済法(読み)シキンケッサイホウ

デジタル大辞泉の解説

しきんけっさい‐ほう〔‐ハフ〕【資金決済法】

《「資金決済に関する法律」の略称》資金決済サービスの拡充や適切な運営を目的として制定された法律。送金などの為替取引は、銀行等の金融機関だけに認められていたが、同法規定に従い登録を行った資金移動業者にも、少額に限って認める。また、電子マネーなど前払い式の支払い手段に関しても法整備が行われた。平成22年(2010)施行。
[補説]前払式証票法規制されていた商品券プリペイドカードギフト券などは、この法律では「前払式支払手段」と総称され規制を受ける。金額情報を事業者サーバー上で管理し、利用者にはIDのみ交付されるものも規制の対象となる。乗車券入場券などは対象外。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

資金決済法

銀行などに限定していた国内外の少額の送金業務を他業種にも認めることや、電子マネーの利用者保護の強化などを規定。昨年4月に施行された。送金ができる資金移動業者として登録されるには、一定資産保有や不法送金を防ぐための体制整備などが条件となる。

(2011-02-13 朝日新聞 朝刊 1経済)

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知恵蔵miniの解説

資金決済法

前払式支払手段(商品券・プリペイドカード・電子マネーなど)や資金移動業、資金清算業について規定する日本の法律。正式名称「資金決済に関する法律」。情報通信技術の発達や利用者ニーズの多様化などを受け、2010年4月1日に施行された。前払式支払手段としては、従来適用となっていたものに加え、金額情報が事業者のサーバーのみで管理されている「サーバー型の前払式支払手段」が規制対象となった。資金移動業は銀行などの金融機関に限らず、登録を行った資金移動業者も少額に限り認められるようになっている。近年では、ゲーム内で販売されるアイテムが同法における前払式支払手段に該当するか否かの判断基準が曖昧など、問題点も指摘されている。

(2016-4-7)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

資金決済法
しきんけっさいほう

ICT(情報通信技術)の発達に伴う新たな資金決済サービスの規制と適切な運営を目的として、2009年(平成21)に制定された法律。正式名称は「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号)。同法は、ICTの発達や利用者ニーズの多様化等の資金決済システムをめぐる環境の変化に対応して、(1)前払式支払手段、(2)資金移動業、(3)資金清算業の規律を内容として制定された。
 (1)の前払式支払手段の規律では、従来は「前払式証票の規制等に関する法律」(平成1年法律第92号。「前払式証票規制法」「プリカ法」と略称)の適用対象となっていた紙型(商品券等)、磁気ストライプ型(初期型プリペイドカード)、ICチップ搭載型(「Suica(スイカ)」等のICプリペイドカード)といった前払式支払手段に加え、サーバー管理型の前払式支払手段が法規制対象に加えられた(これに伴いプリカ法は廃止された)。サーバー管理型の前払式支払手段とは、利用者識別情報だけが記録されているカードで、残高情報がサーバーと接続して管理される方式の、たとえばコーヒーチェーンのスターバックスで利用できる「スターバックスカード」等をさす。
 前払式支払手段は、それらに記載・記録される金額に応じた対価を得て発行され、発行者または発行者が指定する者との間での売買や役務提供の代価の弁済に使用できる。乗車券・入場券その他これに準ずるもので、政令で定めたものや、使用期間が6か月以内に限定されるものは含まれない(4条)。
 前払式支払手段には自家型と第三者型とがあり、いわゆる電子マネーは第三者型前払式支払手段である。自家型前払式支払手段は、だれでも発行することができ、基準日(毎年3月31日と9月30日)の未使用残高が1000万円を超えた場合には、財務(支)局長に対する届出が必要となり(5条)、届出を行って以降は、自家型発行者として、資金決済法の適用を受ける(3条6項)。第三者型前払式支払手段は、財務(支)局長の登録を受けた者のみが発行することができ(7条)、登録を受けた者は第三者型発行者として、資金決済法の適用を受ける(3条7項)。前払式支払手段発行者は、基準日未使用残高の2分の1の額以上の資産を供託等によって保全しなければならない(14条)。一定の要件を満たす業者は、その資産保全義務を免れる(35条)。前払式支払手段の払戻しは、例外の場合を除いて、禁止されている(20条)。
 (2)の新たな資金移動業の規律では、銀行等の免許を受けずとも、資金決済法による登録をした者は、資金移動業者として、1回当り100万円以下であれば、現金の輸送を伴わずに隔地者間で資金移動をする為替(かわせ)取引を行うことができるようになった(37条、2条2項)。資金移動業者は、履行保証金の供託義務(43条)、帳簿書類作成保存義務(52条)、報告義務(53条)を負うほか、いわゆる金融ADR(裁判外紛争解決手続)への対応が必要とされている。
 (3)の資金清算業の規律では、為替取引にかかる債権債務の清算のため、債務の引受け、更改その他の方法により、銀行等の間で生じた為替取引に基づく債務を負担することを業とする資金清算業は、免許を要する業務とする(2条5項、64条1項)。ただし、日本銀行は適用除外とされ、日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)は適用対象外である。
 その後、資金決済法は、「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」(2016年5月成立、2017年4月施行)によって改正された。そこでは、前払式支払手段の規制の見直しとして、ウェアラブル端末等の電子端末前払式支払手段に対応した利用者への情報提供を可能とするべく、証票等への情報表示義務(13条)を撤廃して情報提供義務の規定を整備するなどの改正が行われた。
 そして、ビットコインなどの仮想通貨利用がグローバルな規模で急激に拡大し、2014年の世界最大のビットコイン交換所を運営するマウントゴックス社の経営破綻(はたん)、2015年6月のG7エルマウ・サミット(ドイツ南部のエルマウ城で開催された主要国首脳会議)での仮想通貨規制の合意、同年の金融活動作業部会(FATF(ファトフ)。マネー・ロンダリングやテロ資金供与への国際的な対策を協議する政府間機関)の仮想通貨交換所の登録・免許制促進等のガイダンス公表、アメリカの金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN(フィンセン):Financial Crimes Enforcement Network)による監督強化指針のリリース等の影響により、顧客保護やマネー・ロンダリング対策を図るために仮想通貨を監督する気運が高まり、2016年改正資金決済法により仮想通貨規制が加えられた。
 同改正法は、まず、「仮想通貨」を、不特定多数間での物品購入・サービス提供の決済・売買・交換に利用できる「財産的価値」であり、情報処理システムによって移転可能なものと定義する(2条の5)。仮想通貨は、法定通貨ではないが、決済手段の一つと解釈される。次に、「仮想通貨交換業」を定義し(2条の7)、仮想通貨交換業者に資本要件・財産的基礎等を満たしたうえで、内閣総理大臣への登録を義務づける登録制を導入する(63条の2)。そして、仮想通貨交換業者の業務規制が設けられ(63条関係)、仮想通貨交換業者は、利用者に取引内容や手数料等の情報を提供し、システムの安全管理や利用者財産と自己資産の分別管理を行い、定期的にその状況について公認会計士または監査法人の監査を受けることが求められる(63条の11)。また、仮想通貨交換業者に対する監督が定められ(63条)、犯罪収益移転防止法上の義務を負う「特定事業者」に位置づけられるとともに、監督官庁となる金融庁が業務改善命令や停止命令を出せるようになった。2018年1月に大量の仮想通貨を流出させたコインチェック社に対しては、仮想通貨交換業者の登録前であったが、みなし登録業者として業務改善命令が発せられた。
 なお、資金決済法上の仮想通貨交換業者に対しては、マネー・ロンダリング対策に関する「犯罪収益移転防止法」(平成19年法律第22号)と連携した法規制と運用もなされている。[福原紀彦]
『高橋康文編著『詳説 資金決済に関する法制』(2010・商事法務) ▽堀天子著『実務解説 資金決済法』第3版(2017・商事法務) ▽増島雅和・堀天子編著、石川貴教・白根央・飯島隆博著『FinTechの法律 2017-2018』(2017・日経BP社) ▽神田秀樹・神作裕之・みずほフィナンシャルグループ編著『金融法講義』新版(2017・岩波書店)』

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