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卵巣嚢腫 ランソウノウシュ

百科事典マイペディアの解説

卵巣嚢腫【らんそうのうしゅ】

卵巣に生じる嚢腫。卵巣腫瘍(しゅよう)の一種で,偽ムチン嚢腫,漿液(しょうえき)嚢腫などがある。偽ムチン嚢腫は腺性嚢腫ともいい,内容はゼラチン状の液。30歳代に多い。
→関連項目月経困難

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家庭医学館の解説

らんそうのうしゅ【卵巣嚢腫 Ovarian Cystoma】

◎嚢腫はほとんどが良性
[どんな病気か]
 卵巣には、多種多様な腫瘍(しゅよう)が発生します。卵巣嚢腫とは、これらの卵巣腫瘍の一部を指し、つぎの3つのタイプに分けられる、一般に良性の腫瘍です。
■漿液性嚢胞腺腫(しょうえきせいのうほうせんしゅ)
 内容物が粘稠性(ねんちゅうせい)の弱い水溶性のものをいいます。
■ムチン性嚢胞腺腫
 内容物が粘稠性の強い粘液のものをいいます。
■類皮(るいひ)(性)嚢腫(デルモイド嚢腫)
 内容物に、毛髪・骨・軟骨・歯・脂肪などが含まれるものをいい、両側の卵巣に生じることもよくあります。
[症状]
 嚢腫が大きくならないと、なかなか症状は現われませんが、大きくなるにつれ、下腹部の膨満感(ぼうまんかん)(ふくれた感じ)、腫瘤感(しゅりゅうかん)(おなかに触れると腫瘍の存在がわかる)、腰痛などが現われてきます。
 さらに大きくなると、消化器・呼吸器・循環器などが嚢腫に圧迫され、いろいろな圧迫症状が現われることもあります。
 また、大きさに関係なく、卵巣嚢腫の茎(くき)の部分がねじれると(卵巣嚢腫の茎捻転(けいねんてん))、下腹部に激痛がおこり、緊急手術が必要になることもあります。
[検査と診断]
 卵巣がんをみのがさないことがポイントです。婦人科の一般的な診察(内診など)に加え、経腟(けいちつ)的なあるいは経腹的超音波断層撮影、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像装置)によって、嚢腫の大きさや形状をより正確に判断し、さらに、これらに血中腫瘍マーカー値や内視鏡検査を加えることによって、悪性腫瘍との識別は、以前よりも正確になってきています。
[治療]
 手術で嚢腫を摘出することが原則となります。
 卵巣には、年齢を問わず悪性腫瘍が多くみられますが、卵巣は腹部の奥深くにあるため、現在の診断技術をもってしても、悪性・良性の識別がむずかしい場合が少なくありません。
 しかし、漿液性嚢胞腺腫のなかには、自然に消滅するものもありますので、いろいろな検査を行なった結果、良性と判断された場合には、経過をみることもあります。
●手術
 年齢および嚢腫の状態により方法が異なりますが、嚢腫のみを摘出する場合と、嚢腫のある側の卵巣(卵管(らんかん)を含むこともある)を摘出する場合とがあります。
 これらの方法では、残った卵巣のはたらきにより、排卵や女性ホルモンの分泌(ぶんぴつ)機能を保存でき、妊娠・分娩(ぶんべん)も正常に行なうことができます。
●術後の経過
 ほかの開腹手術に比べて侵襲(しんしゅう)が少ない(ほかの臓器を傷つける危険が少ない)ため、早い社会復帰が可能です。
 さらに最近では、嚢腫の状態によっては腹腔鏡下(ふくくうきょうか)での手術が可能となり、おなかを大きく切らずにすむので、より早い社会復帰ができるようになってきました。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

卵巣嚢腫
らんそうのうしゅ

卵胞嚢腫」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

卵巣嚢腫
らんそうのうしゅ
ovarian cystoma

卵巣嚢胞腺腫(せんしゅ)ともいい、嚢腫の代表的なもので、良性腫瘍(しゅよう)の一種。卵巣腫瘍のうちもっとも多く、俗に「卵巣の瘤(こぶ)」などとよばれる。なお、卵巣には腫瘍性でない嚢胞cystもよくみられるが、臨床的に鑑別が困難なため、一般に卵巣嚢腫に含まれることが多い。単純な卵巣嚢胞には腺上皮の増殖がみられず、徐々に大きくなるが破裂することはなく、時日の経過とともに自然に消滅してしまう。
 卵巣嚢腫はムチン性(粘液性)と漿液(しょうえき)性に大別される。ムチン性嚢腫はかつて偽粘液性嚢腫とよばれていたもので、内容はゼラチン状で、さくらんぼの実大から児頭ないし成人頭大のものまであり、単房あるいは多房性で、壁が厚くて硬い。30歳代にもっとも多くみられ、一般に片側性で、発育は徐々に進むが悪性化することはほとんどない。
 一方、漿液性嚢腫は多少とも乳頭状の増殖を示し、壁が紙のように薄くて内容が透けて見え、淡黄色を呈する。40歳前後に多くみられ、おもに両側性に発生する。乳頭状に増殖したもののうち約半数に悪性化の傾向があり、再発することもある。
 なお、よく動く卵巣嚢腫では根元の部分がねじれて茎捻転(けいねんてん)をおこし、循環障害を招くと、激しい下腹部痛をはじめ、嘔吐(おうと)、発熱、子宮出血などの急性症状がみられ、ただちに手術する必要がある。
 婦人科的診察(内診)のほか、超音波断層撮影やCT検査によって比較的容易に診断されるが、悪性との鑑別が困難な場合が多く、手術による摘除が行われる。[新井正夫]

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