労働組合に組織されていない労働者をいう。これに対し労働組合に加入している労働者を組織労働者とよぶ。当該労働者に対する組織労働者の比率を労働組合組織率または単に組織率という。厚生労働省「労働組合基礎調査」によれば、2009年(平成21)6月時点の日本の労働組合数は2万6696組合、組合員数は1007万8000人、推定組織率は18.5%である。推定組織率の最高は1949年(昭和24)の55.8%である。その後は1970年に35.4%と比較的高い水準を示したのち、組織率は低下を続け、1975年に一時回復の兆しをみせたが、以後、組合数、組織率ともに減少傾向が顕著で、1983年以降組織率は3割を、2003年には2割を下回るようになった。これは、おもに低成長経済下の雇用調整によって大企業の正規労働者の削減が進み、労働者が労働組合の少ない中小零細企業やサービス業、卸売・小売業などへ移動したこと、若年労働者の組合加入率が低下したことなどによる。産業別にみれば、複合サービス事業(52.2%、2009年推定組織率、以下同じ)を筆頭に、電気・ガス・熱供給・水道業(43.5%)、公務(43.4%)、金融業・保険業(42.0%)などで組織率が高いのに対し、農林漁業(2.7%)、不動産業・物品賃貸業(2.7%)、宿泊業・飲食サービス業(4.0%)、生活関連サービス業・娯楽業(6.4%)、医療・福祉(7.8%)では組織率が1割を下回っている。
企業規模が小規模になるほど組織率は低い。「労働組合基礎調査」(2009年6月、民営企業)によれば、1000人以上の企業では46.2%の労働者が労働組合に組織されているのに対し、100~999人の企業では14.2%、99人以下の企業では組織率はわずか1.1%にすぎない。ただし、大企業に就労していても臨時工、社外工、パートタイマー、派遣労働者など不安定雇用労働者の大多数が未組織のままである。これは日本の企業別組合が直接雇用の正社員を組織対象としており、初めから臨時工、社外工、派遣労働者などを組織対象としていないという弱点をもっているためである。小零細企業労働者や不安定雇用労働者が未組織のままに放置されていることは、組織労働者を含む労働者全体の賃金・労働条件を押し下げることになる。1990年年代以降、これらの弱点を克服し、未組織労働者の組織化を促進する努力が、企業の枠を超えた個人加盟の一般労働組合(全業種一般=全労連・全国一般労働組合、建設・運輸一般=建設交通一般労働組合など)によって行われている。また、パートタイマーを地域で組織する試み(地域ユニオン)や、特定の層を主要な対象として企業横断的に組織する新たな動きもみられる。たとえば、管理職ユニオン、首都圏青年ユニオン、女性ユニオン、派遣ユニオンなどがある。
[伍賀一道]
『日本の労働組合運動編集委員会編『日本の労働組合運動5 労働組合組織論』(1985・大月書店)』▽『木下武男著『格差社会にいどむユニオン』(2007・花伝社)』▽『厚生労働省大臣官房統計情報部編『日本の労働組合の現状 労働組合基礎調査報告』各年版(国立印刷局)』
働き手が自分の働きたい時間に合わせて短時間・単発の仕事に就くこと。「スポットワーク」とも呼ばれる。単発の仕事を請け負う働き方「ギグワーク」のうち、雇用契約を結んで働く形態を指す場合が多い。働き手と企...
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