日本大百科全書(ニッポニカ) 「李顒」の意味・わかりやすい解説
李顒
りぎょう
(1627―1705)
中国、清(しん)代の学者。字(あざな)は中孚(ちゅうふ)、号は二曲(じきょく)。陝西(せんせい)省厔(ちゅうしつ)県の人。母によく仕え、戦乱中に戦死した父の遺骨を捜索し、至孝の人として知られる。独学で一家をなし、各地に講学した。陽明学の影響を強く受け、明(みん)代の庶民学者を顕彰し、人間主体を確立して実践することを尊ぶ明体適用の学を提唱した。明代の心学的性格を残しながら、政治社会的実践を重んずる清代初期の学風をあわせもっている。北の孫奇逢(そんきほう)、南の黄宗羲(こうそうぎ)とともに三大儒の一人に数えられた。『四書反身録』『李二曲先生全集』などの著述がある。
[佐野公治 2016年3月18日]