映画監督。和歌山県に生まれる。1958年(昭和33)早稲田(わせだ)大学卒業後、文化・記録映画の岩波映画製作所に入る。退社後、軍事基地の島、沖縄の実相に迫った長編記録映画『沖縄列島』(1969)を発表、同じく沖縄を扱った劇映画『やさしいにっぽん人』(1971)で注目を集める。少年院に収容される非行少年たちの軌跡を柔らかな視線で追った『サード』(1978)の成功以降、平凡な女子大生の日常生活をていねいにとらえた『もう頬(ほお)づえはつかない』(1979)や『四季・奈津子』(1980)などニュアンス豊かな映像で女性映画を多く手がける。『マノン』(1981)、『セカンド・ラブ』(1983)、『湾岸道路』(1984)と作品を積み重ね、「銀座の女」の変身を描いた渡辺淳一原作の『化身』(1986)をヒットさせ、風俗監督としての手腕が評価された。兄弟の成長を通して被差別部落の歴史を描いた住井すゑ原作『橋のない川』のリメイクに挑戦(1992)、抑制のきいた手堅い演出でまとめあげた。ドキュメンタリー出身らしい観察者的な視線で、豊かな自然のなかで育つ双子とその家族を描いた『絵の中のぼくの村』(1996)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。自然のなかでの自己回復を描いた『ボクの、おじさん』(2000)も同じ傾向の作品である。
[佐伯知紀]
沖縄列島(1969)
やさしいにっぽん人(1971)
日本妖怪伝 サトリ(1973)
サード(1978)
もう頬づえはつかない(1979)
四季・奈津子(1980)
ラブレター(1981)
マノン(1981)
ザ・レイプ(1982)
ジェラシー・ゲーム(1982)
セカンド・ラブ(1983)
湾岸道路(1984)
化身(1986)
うれしはずかし物語(1988)
橋のない川(1992)
絵の中のぼくの村 Village of Dreams(1996)
ボクの、おじさん The CROSSING(2000)
わたしのグランパ(2003)
風音(2004)
ナース夏子の熱い夏(2010)
私の調教日記(2010)
酔いがさめたら、うちに帰ろう。(2010)
姉妹狂艶(2011)
『東陽一著『午後4時の映画の本』(1979・幻灯社)』▽『東陽一著『映画と風船――ぼくと映画と女優たち』(1980・パンドラ社)』▽『内藤昭著・東陽一(聞き手)『映画美術の情念』(1992・リトル・モア)』
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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