松尾(岩手県)(読み)まつお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「松尾(岩手県)」の意味・わかりやすい解説

松尾(岩手県)
まつお

岩手県北西部、岩手郡にあった旧村名(松尾村(むら))。現在は八幡平(はちまんたい)市の南西部を占める地域。2005年(平成17)岩手県西根町(にしねちょう)、安代町(あしろちょう)と合併して市制施行、八幡平市となった。秋田県に境し、旧村域の70%は岩手山(いわてさん)、八幡平などの山岳が占め、中央を流れる松川(まつかわ)、赤川(あかがわ)沿いにわずかに耕地が開ける。JR花輪線、国道282号(津軽街道)のほか東北自動車道が通じ、松尾八幡平インターチェンジがあり、八幡平、岩手山への玄関口となっている。1882年(明治15)茶臼(ちゃうす)岳東麓(ろく)に硫黄(いおう)の露頭が発見され、1914年(大正3)松尾鉱業株式会社が設立、硫黄の採掘精錬が始まった。1921年には硫化鉄鉱の採掘も開始、最盛期の1966年(昭和41)には精製硫黄10万トン、硫化鉄鉱68万トンを生産、東洋一を誇り、一大鉱山町が形成された。その後回収硫黄に押され、1972年閉山した。

 農業は稲作のほか、トマト、アスパラガスカボチャなどの施設園芸や酪農も盛ん。旧村域の大部分十和田(とわだ)八幡平国立公園域であり、観光開発も進んでいる。松川温泉、藤七(とうしち)温泉八幡平温泉郷をはじめ、下倉スキー場八幡平リゾートパノラマスキー場などのスキー場のほか、県民の森、松川自然休養村、日本最初の松川地熱発電所などがある。大揚沼(おおあげぬま)モリアオガエルおよびその繁殖地は国指定天然記念物。

[金野靜一]

『『村誌 松尾の歩み85年』(1976・松尾村)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android