朝日日本歴史人物事典 「林屋正蔵(初代)」の解説
林屋正蔵(初代)
生年:天明1(1781)
江戸後期の落語家。江戸生まれ。26歳で初代三笑亭可楽に入門,まず三笑亭楽我(賀)を名乗り,可竜,笑三,さらには林屋正蔵と改名。37歳で江戸きっての盛り場,両国広小路で寄席を経営,1年中昼席を開き,日々演題を改め,江戸見物の人々を引きいれた。仕掛けや人形を用いた怪談咄を得意とし得たのも,持ち席あればこそで,自作の『軽口頓作 ますおとし』(1826)などの咄本や合巻を寄席で籤引きの景品とした。55歳で剃髪したが還俗。今戸慶養寺に葬る。名跡は昭和56(1981)年に彦六と改名した8代目におよび,初代の得意とした怪談咄を継承。なお4代正蔵から亭号は「林家」。<参考文献>延広真治『落語はいかにして形成されたか』
(延広真治)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報