日本大百科全書(ニッポニカ) 「糸貫」の意味・わかりやすい解説
糸貫
いとぬき
岐阜県南西部、本巣郡(もとすぐん)にあった旧町名(糸貫町(ちょう))。現在は本巣市の南部を占める一地区。1960年(昭和35)町制施行。2004年(平成16)本巣町、真正(しんせい)町、根尾(ねお)村と合併、市制施行して本巣市となる。旧糸貫町は、根尾川(ねおがわ)扇状地の東部に位置する。樽見鉄道(たるみてつどう)が通じ、国道157号、303号が走る。米のほかに、富有(ふゆう)ガキ、タマネギ、イチゴ、トマトなどの栽培が盛んで、富有ガキは特産である。工業では紡績、木工、電機などの工場が代表的なものである。中央部を南流する糸貫川は、古く席田(むしろだ)の伊津貫(いつぬき)川とよばれ、歌に詠まれた名所であったが、1950年(昭和25)廃川となり、河川敷は公共施設や工場、住宅などの用地として利用され、現在は小さな流れとなって残り往時をしのばせている。岐阜市に隣接し、同市との結び付きが強い。名刹(めいさつ)智勝院や馬かけ神事で知られる長屋神社がある。
[上島正徳]
『『糸貫町史 史料編』『糸貫町史 通史編』(1969、1982・糸貫町)』