1891年10月28日に起きた国内最大規模の内陸直下型地震。マグニチュード(M)は推定8・0。被害は岐阜、愛知両県を中心に福井県や滋賀県などにも及び、死者7千人以上、全壊家屋14万戸以上といわれる。震源地付近とされる岐阜県本巣市の根尾谷断層には、最大約6メートルの段差が地表に出現。開通後間もない東海道線に被害が出るなど、人口がまだ4千万人ほどで近代国家の建設を急いでいた日本に大きな衝撃を与えた。本格的な地震研究が始まるきっかけにもなった。
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1891年10月28日美濃・尾張地方に起こった大地震で,日本の内陸部でこれまでに起こった最大級の地震であり,マグニチュードは8程度(現在の気象庁規模で7.9)に達し,有感半径は880kmにもおよんだ。当時の《濃尾震誌》は地震が起こった時の状況を,〈轟然(ごうぜん)一声百雷の頭上に墜落せしと思ふ間もなく劇烈な震動をおこし,瓦飛び屋倒れ,地裂け井涸れ,瞬時にして全世界を絶滅すべき勢を現はせり〉と述べている。この大地震によって生じた被害は濃尾平野を中心に,死者7237人,負傷者1万7175人,家屋全壊14万2177,半壊8万0324,橋梁損落1万ヵ所,山崩れ1万余ヵ所に達した。この地震に伴って,福井県南部から岐阜県根尾谷を通り愛知県犬山東方まで総延長約80kmにおよぶ大断層が地表に出現した。特に根尾谷断層の中心部水鳥(みどり)では上下6m,水平4mにもおよぶ断層崖を生じた(これは現在特別天然記念物に指定されている)。また濃尾平野南部では各地で地割れ,陥没,噴砂,噴水などの現象が見られた。余震は非常に多く,岐阜では本震後4日間に720回,2ヵ月間に約2500回の有感余震を記録した。現在でも断層南部では余震と見られる微小地震が発生している。最近の詳しい地質学的・地球物理学的調査によれば,この大地震は濃尾活断層系のうち,温見(ぬくみ),根尾谷,梅原の三つの主要な活断層(深さ約15km程度)と,根尾谷断層金原付近より南東方向に名古屋北方までのびる潜在断層が順次に変位を起こしたために発生したと考えられている。断層の破壊は温見断層の北端付近で始まり,2.5km/s以内の速度で次々と南東方へ伝搬し,根尾谷断層北部で水平ずれ最大4m,南西側隆起最大4m,南部では水平左ずれ最大8mという大きい断層変位が生じた。この地震を契機として震災予防調査会が設立され,これが近代地震学の発展の基礎となった。内陸部のこの付近には745年(天平17)および1586年(天正14)にも地震が発生している。
執筆者:三雲 健
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1891年(明治24)10月28日6時38分ころ、愛知・岐阜両県にまたがって発生した地震。規模はM8.0。死者7273人。全半壊の家屋22万2501、道路破裂2万0067か所、橋梁(きょうりょう)損落1万0392、堤防崩壊7177、山崩れ1万0224か所などの被害が発生したが、もっとも被害の大きかったのは美濃(みの)と尾張(おわり)の地方であった。この地震で、北北西―南南東の方向に延長80キロメートル以上にも及ぶ根尾谷断層帯(ねおだにだんそうたい)が出現した。とくに岐阜県本巣(もとす)郡根尾村水鳥(みどり)(現、本巣市根尾水鳥)付近では西側が約6メートル隆起し、南南東方向に約2メートルずれた。余震が多く、岐阜県では10月の有感余震は720回に達した。この地震で、福島県西部岩代(いわしろ)地方、静岡県伊豆地方から西は岡山県美作(みまさか)地方に至る広域で温泉水の増量がみられた。
[宇佐美龍夫]
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1891年(明治24)10月28日午前6時38分頃,美濃・尾張両地方を中心におこった地震。震源地は岐阜県本巣郡根尾村(現,本巣市)付近。死者7273人,全壊・焼失家屋14万2000戸。内陸型としては日本最大級の地震で,マグニチュード約8.0と推定される。名古屋紡績の煉瓦造りの工場や長良川・木曾川の鉄橋などは壊滅的な被害をうけ,西欧流の建築・土木技術の弱点が暴露され,地震多発国日本における建築・土木技術の研究・開発が急がれた。また92年6月に文部省(現,文部科学省)管下の震災予防調査会が設置される契機となった。
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各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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