(読み)タタ(英語表記)shield

翻訳|shield

デジタル大辞泉 「楯」の意味・読み・例文・類語

たた【×楯】

たて」の古形。
「―めて」〈・中・歌謡〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「楯」の意味・読み・例文・類語

たて【楯・盾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 軍陣の防御具。手に持つ手楯、地上に立てる掻楯(かいだて)、櫓(やぐら)や船端にかける小楯、大儀の際の儀干(ぎかん)、神宝の威儀の類があり、またその材質から鉄楯、革楯、木楯、竹楯などともいう。近世鉄砲に対して車楯、箱楯、帖楯などの大形のものが出現した。→たた
    1. 楯<b>①</b>〈春日権現験記絵〉
      〈春日権現験記絵〉
    2. [初出の実例]「爾に御船に入れたる楯(たて)を取りて下り立ちたまひき故」(出典:古事記(712)中)
  3. 防ぎ守ること。また、そのもの。
    1. (イ) の代わりとして防ぎ守るもの。護衛。障害物。
      1. [初出の実例]「万は天皇の楯(みタテ)と為て其の勇を効(あらはさむ)とすれども」(出典:日本書紀(720)崇峻即位前(図書寮本訓))
    2. (ロ) 他に対して身を防ぎ守る手段とするもの。自分を有利にするもの。かくれみの。いいわけ。口実
      1. [初出の実例]「よしなしな争ふことをたてにして瞋(いかり)をのみも結ぶ心は」(出典:山家集(12C後)中)
  4. 優勝した個人や団体をたたえて贈る、を模したもの。
    1. [初出の実例]「正面の壁には対寮競技に獲得した優勝杯や楯などが飾ってある」(出典:自由と規律(1949)〈池田潔〉その生活)

たた【楯・盾】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「たて」の交替形 ) 他の語と複合して「たて(楯)」の意を表わす。
    1. [初出の実例]「多多(タタ)並めて 伊那佐の山の 樹の間よも い行きまもらひ 戦へば」(出典:古事記(712)中・歌謡)

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普及版 字通 「楯」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 13画

[字音] ジュン
[字訓] たて・てすり

[説文解字]

[字形] 形声
声符は盾(じゆん)。〔説文〕六上に「闌檻(らんかん)なり」(段注本)とあり、てすり、おばしまの意とするが、盾の形声字であろう。大きな盾(たて)を防御用にめぐらし連ねることを干櫓(かんろ)といい、そのめぐらした形が欄檻に似ているので、その義に用いたものと思われる。

[訓義]
1. たて。
2. てすり、おばしま。
3. と通じ、ひきぬく。

[古辞書の訓]
和名抄〕楯 太天(たて)〔名義抄〕楯 タテ

[語系]
楯・盾・djiunは同声。は〔説文〕十二上に「するなり」とあって撫・捍衛の意がある。

[熟語]
楯瓦楯檻楯軒楯梯楯鼻・楯紛楯矛楯墨楯欄楯櫓
[下接語]
引楯・簷楯・軒楯・楯・丹楯・鉄楯・堂楯・板楯・矛楯・欄楯

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楯」の意味・わかりやすい解説


たて
shield

武器の一種。敵の矢や槍あるいは猛獣の攻撃から身を守るための防具。西洋では古くはエジプトの古王朝時代からあり,以後ギリシア・ローマ時代,中世ルネサンスの各時代に用いられた。 14世紀頃までは実用的に用いられたが,以後は次第に装飾化した。その形や大きさはそれぞれの時代と地域によって異なる。中国のものは戦国時代,漢代の資料が実物や画像石などで知られる。日本で古墳から出土するものは器面に塗った漆が残存しており,おそらく革製であったと推測される。その他埴輪や石製模造品にもみられる。鉄製のものとしては,天理市の石上 (いそのかみ) 神宮に伝わる2枚の置楯が知られている。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【甲冑】より

…騎乗の安定と騎射への適応を図るため,挂甲のゆるぎ札から,小札は各段横綴じして板状に漆で塗り固めて小札板とし,伸縮性を有するよう縦取り(縅)(おどし)から縄目威となり,裾は前後左右四間の草摺に分けられた。また,冠板などの金具廻りによって防御性を高め,両肩の肩鎧は幅広の楯状に変化し,大袖となった。左手に持たれていた手楯は小型化して鳩尾(きゆうび)板となり,栴檀(せんだん)板とともに胸部と高紐(たかひも)の空隙を防御する装置となった。…

【盾】より

…相手の攻撃から身を守る防御具。楯とも書く。主として地上に置いて用いる大型の置盾と,手に持って使う小型の持盾とがある。…

※「楯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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