榊原篁洲(読み)サカキバラコウシュウ

デジタル大辞泉 「榊原篁洲」の意味・読み・例文・類語

さかきばら‐こうしゅう〔‐クワウシウ〕【榊原篁洲】

[1656~1706]江戸中期の儒学者。和泉いずみの人。名は玄輔。木下順庵門下で、紀州徳川家儒官となる。中国歴代の制度、特に法制を究めた。著「大明律例諺解」「易学啓蒙諺解大成」など。

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精選版 日本国語大辞典 「榊原篁洲」の意味・読み・例文・類語

さかきばら‐こうしゅう【榊原篁洲】

  1. 江戸初期の儒者和泉の人。名は玄輔、字(あざな)は希翊。木下順庵門下。のち、順庵の推挙紀州藩に仕え、もっぱら歴朝の制度沿革を究める。著に「大明律諺解」「篁洲雑記」など。明暦二~宝永三年(一六五六‐一七〇六

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「榊原篁洲」の意味・わかりやすい解説

榊原篁洲
さかきばらこうしゅう
(1656―1706)

江戸中期の儒学者。名は玄輔。字(あざな)は希翊(きよく)。和泉(いずみ)(大阪府)の人。若くして京都に出、初め伊藤仁斎に学んだが飽き足らず、木下順庵(きのしたじゅんあん)の門に転じ、同門の新井白石(あらいはくせき)、室鳩巣(むろきゅうそう)などと親しく交わった。順庵が幕府の儒官に取り立てられると、その縁で和歌山藩に儒官として召し抱えられた。順庵に学びはしたが、その学風は朱子学を墨守せず、博学多識を旨として諸学派を折衷するものであった。中国の歴代の制度に関心をもち、明(みん)の法律の集成である『明律』の研究を行ったところに、学風の特徴が表れている。漢学普及のための啓蒙(けいもう)書の著述にも意を用い、そのなかでは漢詩の入門書の『詩法授幼抄』(1679)がもっとも聞こえる。

[日野龍夫 2016年5月19日]

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朝日日本歴史人物事典 「榊原篁洲」の解説

榊原篁洲

没年:宝永3.1.3(1706.2.15)
生年:明暦2(1656)
江戸中期の漢学者。和泉(大阪府)の人。名は玄輔,字は希翊,通称小太郎,篁洲と号した。本姓下山氏,外祖父榊原氏に養われ,その姓を冒した。京都に出て,木下順庵に入門。木門五先生のひとり。貞享4(1687)年,師の推挙で紀伊(和歌山県)徳川家の儒官として仕えた。その学風は一派に偏らず,特に歴朝の制度に詳しく,明律学者として聞こえた。他にも,天文暦学,書画,篆刻など幅広い分野に通じ,考証随筆『榊巷談苑』にも,その知識の博さを窺うことができる。<著作>『大明律例諺解』<参考文献>松下忠『紀州の藩学』

(高橋昌彦)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「榊原篁洲」の解説

榊原篁洲 さかきばら-こうしゅう

1656-1706 江戸時代前期の儒者。
明暦2年生まれ。木下順庵(じゅんあん)の門下。貞享(じょうきょう)4年紀伊(きい)和歌山藩の儒官となる。中国歴代の制度,とくに明(みん)の法律にくわしく,天文,暦学,書画などにも通じていた。宝永3年1月3日死去。51歳。和泉(いずみ)(大阪府)出身。本姓は下山。名は玄輔。字(あざな)は希翊(きよく)。通称は小太郎。著作に「大明律例諺解(げんかい)」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「榊原篁洲」の意味・わかりやすい解説

榊原篁洲
さかきばらこうしゅう

[生]明暦2(1656).和泉
[没]宝永3(1706).1.3.
江戸時代中期の折衷派の儒学者。名は玄輔,字は希翊。木下順庵に学び,貞享4 (1687) 年紀州藩の儒官となった。著書『大明律例諺解』『易学啓蒙諺解大成』『篁洲雑記』など。

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世界大百科事典(旧版)内の榊原篁洲の言及

【篆刻】より

…それは明末・清初風のいわゆる方篆雑体のきわめて装飾的なもので,秦・漢の古印の風格はなかったが,その華麗な作風は世の人に好奇の眼で迎えられた。水戸に住んだ心越の直伝を受けた榊原篁洲をはじめ今井順斎,細井広沢,池永一峯の四家は初期江戸派と称され,互いに交遊があり,明人の篆刻趣味を広く文人のあいだに広めた。これよりややおくれて,元文(1736‐41)から宝暦(1751‐64)にかけて,江戸から浪華(なにわ)に移り住んだ新興蒙所(にいおきもうしよ)が活躍し,初期浪華派を興した。…

※「榊原篁洲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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