翻訳|pruning
木の下枝を切り落とす作業で育林作業の一工程。節(ふし)を少なく,幹の太さが先のほうまでなるべく変わらないように育てるため,林業では枝打ちを計画的に行う。林の中で光が十分に当たらなくなった下枝は,葉の光合成能力が減り,幹の生長に役立たなくなるだけでなく,自らの生長も衰えてやがて枯れる。枯枝の根元はいわゆる〈死節(しにぶし)〉となり木材の欠点となるので,枯れる前に切り落とすことが望ましい。生長休止期に,枝の付け根の幹を傷つけない程度に根元近くから切り落とすと,次の生長期に切口のまわりの形成層からの癒合組織による巻込みが始まる。樹種,樹勢,枝の太さで異なるが,ふつう1~2年で巻込みを終わり,切口は樹皮でおおわれる。枝打ちの程度は樹種,林の状況,生産する木材の種類などによって決める。生長が衰えた下枝は早めになるべくたびたび切り落とすほうがよいが,実際には経済的な制約をうける。また一度に多く切り落としすぎると幹の太りに影響するが,幹の下部の太りを抑えながら先のほうの太りを促すために,強い枝打ちを繰り返していわゆる磨き丸太を生産している,京都市北部の北山林業の例もある。
執筆者:浅川 澄彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
節のない良質の建築用材をつくるため、立木(りゅうぼく)の枯れ枝や生枝の一部を幹の付け根付近で切り落とすこと。樹木の成長休止期に、樹皮をはいだり幹を傷つけたりしないようにしながら、鉈(なた)や鋸(のこぎり)、斧(おの)などで行う。枝の打ち跡を早く巻き込むように、できるだけ幹に接して切り落とすとよい。林が成長すると枝葉が茂り合って陽光を遮り、下の枝は光が不足して枯れてくる。枯れ枝や下の生枝をそのままつけておくと節の多い材ができる。節の少ない製材用材をつくるには、これらの枝を若いときからしばしば取り除く必要がある。また生枝を上のほうまで強く枝打ちすると、幹の元と末との太さの差が少ない材をつくることができる。良質の建築用材を生産するためには枝打ちは不可欠な技術とされるが、経費もかさむので、樹種や生産の目的により計画的に行う必要がある。枝打ちは、山火事や病虫害発生の予防にも役だつとともに、林内を明るくして下層植生を豊かにし、林地保全にもプラス効果をもたらす。またスギやヒノキについては花粉症対策の一助にもなる。
[蜂屋欣二・藤森隆郎]
…植物,おもに樹木を望ましい形にするために枝などを切ることをいう。果樹,造園樹木などでよく行われる。開花,結実を調節し,収量を上げるために,枝を主体に形を整える剪定を整枝trainingといい,観賞価値を高めるように樹姿を整える剪定を整姿trimmingと称して区別する。剪定の目的は,(1)形を美しく整然と,またはある特定の形につくる,(2)生育を調節し,開花,結実を良好な状態にする,(3)古い枝を除くことにより新しい枝を発生させて若返らせる,(4)密生した枝,枯枝,病枝など生育の障害になる部分を除いて健全な状態にする,(5)徒長を抑え,風害,寒害,病害などに対する抵抗力を強化する,(6)挿木に適当な枝を切り,生産用に供する,(7)移植に際して枝葉を切除することにより蒸散など水分消費を少なくして,活着をよくする,などが考えられる。…
…後者の苗木を山引(やまびき)苗とよんでいる。 植樹造林の手順は,植栽材料の選定,植付本数の決定,苗木の育成,地ごしらえ,植付補植で,このあとに他の造林法にも共通な手入れとして下刈り,つる切り,除伐,枝打ち,間伐がある。(1)植栽材料の選定 造林予定地またはその周辺にもともとある樹種,品種あるいは系統を用いる場合は問題ないが,新しい材料を用いようとする場合には,予定地の環境条件(気候,気象,地形,土壌など)を調べ,それらに最も適したものの中から,仕立てようとする林の目的にかなったものを選定(適地適木)し,林木育種事業で素質,品質が保証された種子または挿穂があればそれらを入手する。…
※「枝打ち」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
北大西洋にある世界最大の島。デンマーク自治領。中心地はヌーク(旧ゴートホープ)。面積217万5600平方キロメートルで、全島の大部分は厚い氷に覆われている。タラ・ニシンなどの漁業が行われる。グリーンラ...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新