機械受注統計(読み)きかいじゅちゅうとうけい

共同通信ニュース用語解説 「機械受注統計」の解説

機械受注統計

内閣府が主要な機械メーカー280社を対象に民間企業や官公庁、海外からの設備用機械の受注状況を調査した統計。「船舶電力を除く民需」が、企業の設備投資意欲をみるため最も注目される。6~9カ月先の民間設備投資動向を示す先行指標といわれる。ただ大型案件の有無で受注総額が大きく変動することもあり、単月結果だけで傾向をみるのは難しい面もある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「機械受注統計」の意味・わかりやすい解説

機械受注統計
きかいじゅちゅうとうけい

機械製造業者が1か月の間にどれくらいの注文を受けたかを調べた経済統計。主要280の機械メーカーにおける設備用機械の受注状況を調査して設備投資の動きを早期に把握し、景気分析の基礎資料を得ることを目的とする。統計法(平成19年法律第53号)に基づく一般統計調査で、内閣府が毎月調査し、2か月前の統計を毎月10日ごろに発表。さらに、2月、5月、8月、11月には四半期ごとの機械受注見通しも発表する。調査業種は原動機重電機、電子・通信機械、産業機械、工作機械、鉄道車両、道路車両、航空機、船舶である。受注先は民間需要以外に、官公需、外需、代理店経由などがある。なお、電力会社や船舶の受注は大口であることが多く、景気動向とは関係なく極端に変動する傾向があるため、「船舶・電力を除く民需」が企業の設備投資意欲を示す指標として市場などから注目されている。

 一般に企業が増産を行うためには、機械を購入するなどの設備投資が必要であるが、設備用機械は受注から納品までに数か月を要する。このため機械受注統計は実際の設備投資よりも6~9か月の先行性をもつとされる。また、国内総生産の2割弱を占める設備投資のうちのほぼ半分を機械投資額が占めていることから、月次の設備投資統計としてもっとも注目度が高い。しかし発電所や航空機などの大型機械の生産は実際には数か月以上にわたって続くが、統計としては契約のあった月にだけ表れ、翌月は反動減となる。このため機械受注統計は毎月の統計数値の振幅が大きいことでも知られ、基調動向を把握するためには季節調整値の3か月平均を用いるのが一般的である。

 なお、契約から納品までの期間が短い電子・通信機械などの受注比率が高くなっていることで、機械受注統計の先行期間は短縮傾向にあるとされる。また、調査対象に中小企業が含まれないことや、受注取り消し(キャンセル)があった場合に受注月ではなく取り消し月からキャンセル額が控除されてしまうことなどの問題があるとされている。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「機械受注統計」の意味・わかりやすい解説

機械受注統計
きかいじゅちゅうとうけい
orders received for machinery

機械生産メーカーの受注額を月次で集計したもので,設備投資の先行指標の一つ。内閣府から毎月公表される。各企業が設備投資のための機械をメーカー側に発注する段階をとらえて,設備投資の動向を知ろうとするものである。民需の動向が設備投資とつながるが,船舶受注や電力からの受注は不規則変動が大きく,全般の景気動向からの独立性も強いため,これらを除いた「船舶・電力を除く民需」が発表され,民間設備投資の先行きを判断する上で重要視されている。

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