翻訳|dead water
(1)流れの中に物体をおいたとき,物体下流では流体がほとんど静止した領域が生ずるが,この部分を死水という。粘性の小さな流れの中におかれた物体に働く抵抗を説明するために,G.R.キルヒホフ(1869)らが提唱した概念である。死水との境界は自由流線と呼ばれ,その上および内部の圧力は無限遠の圧力に等しく,無限に延びるものとする。実在の流れでは自由流線が一般に不安定で背部に乱れた領域を生じ,圧力が低下するので自由流線理論よりも大きな抵抗が働くことになる。後流が水や蒸気の空洞となり界面が安定であれば,理論値は実験値に近い。
執筆者:橋本 英典(2)〈しにみず〉とも読み,引幽霊ともいう。船のプロペラを回しても,その推進のためのエネルギーが,海の内部波の生成に費やされて,船がほとんど進まないか,あるいはまったく進まないことをいう。海洋の成層が著しく,しかも海水密度の鉛直こう配の最大の層にちょうどプロペラが位置する状態のときに起こりやすい。この現象の最初の科学的記述はF.ナンセンによりなされ,V.W.エクマンによって内部波との関係が物理的に調べられた。
執筆者:寺本 俊彦
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…徐志摩(1896‐1931)らと《詩》《新月》《詩刊》などを編集。28年の詩集《死水》は詩壇文壇に大きな反響をよんだ。27年北伐に参加。…
…(1)流れの中に物体をおいたとき,物体下流では流体がほとんど静止した領域が生ずるが,この部分を死水という。粘性の小さな流れの中におかれた物体に働く抵抗を説明するために,G.R.キルヒホフ(1869)らが提唱した概念である。…
…93年フラム号で北極海横断航海に出,シベリア北岸沿いにノボシビルスク諸島北方から氷盤に乗って漂流,船の北進が止まった95年3月14日,北緯83゜59′から犬ぞりで極点を目ざし,4月8日未踏の北緯86゜13′36″に達した。96年生還し母校教授となり,探検報告をまとめたが,それは今も北極海の基礎知識となっているもので,溶けた氷雪で低塩分の表層水がある海域では船の推進力が吸収される〈死水(しすい)〉現象や,風による海流が風向に約40度右偏する現象等の解明,北極海中層に濃塩分の大西洋水塊潜入現象の発見等,重要な業績が収録されている。99年海洋探査国際会議創設をJ.マレーらと提唱,1900年国際海洋調査団長として北大西洋を巡検,その後も国際海洋調査に活躍した。…
※「死水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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