自社の商品や役務を競合他社のものと比較し、自社のものを選択・購入したほうが消費者にとって有利であることを訴える広告。従来、広告で競合ブランドを名ざすことは非倫理的であり、業界の良風美俗に反するという通念が支配的であったが、コンシューマリズム(消費者主権主義)台頭のアメリカで、とくに1970年代以降盛んになった。これは「真実かつ公正な比較広告は、消費者に必要かつ役にたつ情報を提供するものである」との考えから、それ以前にあった「ブランドX」との比較といった漠然としたやり方ではかえって誤認を招くとし、はっきりと競合銘柄を名ざすほうがよい、という主張を反映したものである。
こうした趨勢(すうせい)を踏まえて、公正取引委員会は1987年(昭和62)「比較広告に関する景品表示法上の考え方」と題するガイドラインを公表した。これは、比較広告が違法な不当表示とならないための三つの要件を示したものである。
(1)比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
(2)実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
(3)比較の方法が公正であること
以上のガイドラインは、かならずしも難解なものとはいえないが、日本の業界事情――彼我の商品に「差」がみいだしにくい、中傷・誹謗(ひぼう)となるのを恐れる――等のため活発に実施されているとはいえない情況にある。
[豊田 彰]
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(高橋郁夫 慶應義塾大学教授 / 2007年)
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