日本大百科全書(ニッポニカ) 「水晶占い」の意味・わかりやすい解説
水晶占い
すいしょううらない
水晶を凝視してそこに浮かぶ陰影によって物事を占うこと。ヨーロッパ諸国では古来より行われていた占法(せんぽう)の一つである。クリスタル・ゲージングcrystal gazingといって、水晶の珠(たま)を卓上に置き、それを椅子(いす)に座した人が凝視する。水占いという水面を見つめて占うのと同様な占法である。日本では水占いは巫女(みこ)がこれを行っていたが、水晶占いについては明白な実例に乏しい。『日本書紀』仲哀(ちゅうあい)記に神功(じんぐう)皇后が長門(ながと)(山口県)の豊浦(とゆら)の津で如意珠(にょいのたま)を海中よりとられたことが記してあるのは、皇后が水晶占いをされたのではないか、との説もある。この珠は剣珠(つるぎのたま)と称せられて、摂津(大阪府)の広田神社の末社南宮(なんぐう)神社の神体として奉祀(ほうし)されているという。
水晶占いは水占いと原理は同じで、光沢のある物品を凝視していると、一種の暗示作用で、いろいろな陰影が現れるので、それによって吉凶その他の事柄を判断するものである。これは個人の資質や体質によってその能力が違い、両眼の間の広い人にはこの能力があるといわれている。また水晶占いをする室内の照明は、暗くてはいけないが、あまり明るすぎてもいけないという。
[大藤時彦]