豊浦(読み)とようら

精選版 日本国語大辞典 「豊浦」の意味・読み・例文・類語

とようら【豊浦】

  1. [ 一 ] 山口県下関市の南東部の地名。長門国山口県)の国府が置かれた所。とよら。
  2. [ 二 ] 山口県の西端にあった郡。現在の下関市域にあたる。
  3. [ 三 ] 奈良県高市郡明日香村の地名。推古天皇豊浦宮(とゆらのみや)の遺跡地。とよら。とゆら。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「豊浦」の意味・わかりやすい解説

豊浦(町)
とようら

北海道南西部、胆振(いぶり)総合振興局管内の町。内浦(うちうら)湾(噴火湾)に臨む。1947年(昭和22)町制施行。JR室蘭(むろらん)本線、国道37号が通じ、道央自動車道豊浦インターチェンジがある。昆布岳(こんぶだけ)南麓(ろく)にあり、町域の大部分は山地、丘陵地。南流する3小河川の河口に東から豊浦、大岸、礼文(れぶん)の集落がある。サケ、マス、サンマの漁獲のほかホタテガイ養殖を行い、農業は米、野菜、ジャガイモ、サトウダイコン(ビート)、酪農、養豚などの多角経営で、イチゴを特産する。

 海岸は昆布岳の溶岩流が直接内浦湾に迫って数十メートルの断崖(だんがい)をなし、西部の礼文華峠(れぶんげとうげ)は蝦夷三険(えぞさんけん)の一つといわれた。現在、国道は延長約1.3キロメートルの礼文華トンネルでここを抜け、鉄道は豊浦―静狩(しずかり)(長万部(おしゃまんべ)町)間を断続的に約7.5キロメートルのトンネルでつなぐ。難工事で、室蘭―長万部間の室蘭本線が開通したのは1928年(昭和3)のことである。面積233.57平方キロメートル、人口3821(2020)。

[奈良部理]



豊浦(山口県)
とようら

山口県西端部、豊浦郡にあった旧町名(豊浦町(ちょう))。現在は下関市の中西部を占める地域。旧豊浦町は、1955年(昭和30)豊西(とよにし)、黒井、川棚(かわたな)の3村が合併して成立。1956年小串(こぐし)町を編入。2005年(平成17)下関市と合併。響灘(ひびきなだ)に面し、海岸沿いの狭い平野を南北にJR山陰本線、国道191号が走る。川棚や黒井の低地には古代の条里遺構を残し、中世に河棚庄(しょう)、黒井郷とよばれた古い水田農村地帯。近年は温州(うんしゅう)ミカン、野菜、花の栽培が増えた。沿岸の湯玉(ゆたま)、小串、松谷(まつや)、湧田(わいた)、室津(むろつ)は長州藩時代からの漁村で、刺網などのほか、養殖漁業も盛ん。遺跡に青井古墳群、砂丘にうずもれた弥生(やよい)期の中ノ浜遺跡(県史跡)があり、黒井安養寺の木造阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)は国指定重要文化財。川棚のクスの森、小串のエヒメアヤメ自生地などは国指定天然記念物。川棚温泉、八ヶ浜(やつがはま)ゴルフ場、室津や小串の海水浴場など行楽地も多い。

[三浦 肇]

『『豊浦町史』全4冊(1979~1995・豊浦町)』


豊浦(新潟県)
とようら

新潟県北部、北蒲原郡(きたかんばらぐん)にあった旧町名(豊浦町(まち))。現在の新発田(しばた)市南西の地域。1955年(昭和30)中浦(なかうら)、本田(ほんだ)の2村が合併、福島村となり、同年中に豊浦村に改称、1973年町制施行。2003年(平成15)新発田市に編入した。福島潟べりに位置する農村。JR羽越本線(うえつほんせん)、国道460号が通じる。近世は福島潟潟端干拓の中心をなし、天王(てんのう)新田には蒲原大地主の筆頭であった市島邸もあり、豪壮な邸宅は県の文化財に指定されている。第二次世界大戦後は五頭(ごず)連峰県立自然公園の開発が進捗(しんちょく)して、月岡温泉やゴルフ場を中心とする新潟市の日帰り行楽地として観光町にかわっている。

[山崎久雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「豊浦」の意味・わかりやすい解説

豊浦
とようら

山口県西部,下関市中西部の旧町域。響灘に臨む。 1955年川棚村,黒井村,豊西村の3村と宇賀村の一部が合体して町制。 1956年小串町を編入。 2005年下関市,菊川町,豊田町,豊北町の1市3町と合体して下関市となった。丘陵性の山地と川棚川,犬鳴川流域や響灘沿岸の小平野とからなる。米作のほか,野菜栽培や木材の生産,酪農が発達。沿岸ではイカ,ブリ,ナマコ,ウニなどの漁獲が多く,タイ,ハマチの養殖や水産加工業も行なわれる。ベニヤ板,セメント瓦の製造業があり,能木鉱山ではケイ砂を産する。下関市の都市化に伴い住宅地化が進行。前期旧石器時代の磯上遺跡や弥生時代の遺跡と古墳が残り,川棚温泉,茶臼山城址がある。小串のエヒメアヤメ自生南限地帯,川棚のクスの森,大吼谷蝙蝠洞 (おおごうやこうもりどう) は国の天然記念物に指定。

豊浦
とようら

新潟県中部,新潟平野北部に位置し,福島潟沿岸にある地域。旧町名。 1955年本田村と中浦村が合体して福島村となり,同年豊浦村に改称。 1973年町制。 2003年新発田市に編入。西部は福島潟の干拓地であり,新潟平野の穀倉地帯にあって米作が主産業。南部に月岡温泉がある。地域の一部は五頭連峰県立自然公園に属する。 JR羽越本線,国道 290号線,460号線が通る。

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改訂新版 世界大百科事典 「豊浦」の意味・わかりやすい解説

豊浦[町] (とようら)

北海道南西部,胆振(いぶり)支庁虻田(あぶた)郡の町。人口4528(2010)。昆布(こんぶ)岳(1045m)の南斜面に位置し,南は内浦湾に面し,東は洞爺(とうや)村に隣接する。山地が町域の大部分を占め,中心集落は貫気別(ぬつきべつ)川河口の豊浦である。1908-09年に山梨県からの集団入植があり,本格的な開拓が始められた。山地斜面に畑が開かれ,豆類,ジャガイモ,アスパラガスのほか特産品のイチゴを栽培する。近年は養豚,養鶏も盛んである。海岸部ではホタテガイの養殖,カレイの刺網などが行われる。海食崖と奇岩の続く景勝の礼文華(れぶんげ)海岸がある。対馬海流の影響をうけ,冬も比較的暖かい。海岸沿いをJR室蘭本線,国道37号線が通り,道央自動車道のインターチェンジもある。
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豊浦(新潟) (とようら)


豊浦(山口) (とようら)

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百科事典マイペディア 「豊浦」の意味・わかりやすい解説

豊浦[町]【とようら】

山口県西部,豊浦郡の旧町。響(ひびき)灘に面し,内陸は低い丘陵地。主集落は山陰本線川棚(かわたな)温泉駅前の栄町で,付近に川棚温泉がある。海岸には室津,小串(こぐし),湯玉などの漁業集落がある。2005年2月豊浦郡菊川町,豊田町,豊北町と下関市へ編入。75.84km2。2万292人(2003)。

豊浦[町]【とようら】

新潟県中部,北蒲原(きたかんばら)郡の旧町。越後平野の北部にある農村地帯で,新発田(しばた),豊栄(とよさか)(現・新潟市)両市にはさまれる。米作を主力に,施設園芸,畜産を行う。月岡温泉がある。2003年7月,新発田市へ編入。35.95km2。9870人(2000)。

豊浦[町]【とようら】

北海道虻田(あぶた)郡,内浦湾北部の町。室蘭本線,道央自動車道が通じる。海岸平野は狭いが,丘陵地ではジャガイモ,テンサイ,豆類を産する。ホタテの養殖も行う。東日本大震災で,町内において被害が発生。233.57km2。4528人(2010)。

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世界大百科事典(旧版)内の豊浦の言及

【小墾田宮】より

…603年(推古11)10月,推古天皇は,豊浦宮より小墾田宮に移る。そして,628年(推古36)3月に没するまでの間,この小墾田宮が推古朝政治の舞台となった。…

【月岡[温泉]】より

…新潟県北蒲原(きたかんばら)郡豊浦町にある温泉。1917年石油井掘削中に偶然噴湯した。…

※「豊浦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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