炭酸カリウム(読み)たんさんかりうむ(英語表記)potassium carbonate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「炭酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

炭酸カリウム
たんさんかりうむ
potassium carbonate

炭酸カリウム塩。炭酸カリまたは単にカリともいう。カリウム塩中もっとも重要なものの一つ。陸上植物の灰の中に10%程度含まれており、水による抽出液は灰汁(あく)とよばれ、古くは洗剤に使用されていた。水酸化カリウムの45~50%溶液に二酸化炭素を吹き込み、全部が炭酸カリウムとなったところで不純物を濾別(ろべつ)し、真空濃縮することによって製造される。

  2KOH+CO2→K2CO3+H2O
 また、炭酸水素カリウムとして析出させてから熱分解する方法も行われる。

  2KHCO3→K2CO3+CO2+H2O
 無水和物は無色吸湿性結晶。水によく溶け、水溶液中では加水分解してアルカリ性を呈する。アルコールには溶けない。二酸化炭素を吸収して炭酸水素カリウム(重炭酸カリウムともいう)に変わる。ほかに1.5水和物(単斜晶系)、二水和物(斜方晶系)が知られている。軟せっけん、硬質ガラス、光学ガラスなどの製造原料、染色漂白羊毛の洗濯などに使用される。実験室では脱水剤、融剤、分析試薬として用いられるほか、医薬品の製剤原料にもなる。

[鳥居泰男]


炭酸カリウム(データノート)
たんさんかりうむでーたのーと

炭酸カリウム
  K2CO3
 式量  138.2
 融点  891℃
 沸点  ―
 比重  2.29
 結晶系 単斜
 屈折率 (n) 1.531
 溶解度 113.5g/100g(水25℃)
 解離圧 8.3mmHg/1000℃
     (アルカリ金属の炭酸塩中もっとも低い)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「炭酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

炭酸カリウム
たんさんカリウム
potassium carbonate

化学式 K2CO3 。吸湿性のある無色無臭の塊状物質または粉末。水に可溶であるが,アルコールには難溶。水溶液は強アルカリ性を示し,融点 891℃,比重 2.29。軟石鹸,硬質ガラス,医薬品材料,カリウム塩の製造,染料,漂白,皮なめし,有機物の脱水,分析用融剤などに広く使われる。

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