19世紀末以来、アメリカ合衆国を中心に西半球における協力や交流を促進したり、この地域の問題の解決を図るために開かれた米州諸国の会議。米州諸国会議(または単に米州会議)ともいう。1889年アメリカのJ・ブレーン国務長官が、中南米諸国との通商拡大や紛争の平和的処理法の協議のためにワシントンで最初の会議を開催。米州諸国の協力、交流の促進を図るため、米州共和国国際事務局(のちに汎アメリカ連合Pan-American Union)が設立され、汎アメリカ主義の活動が始まった。その後第2回メキシコ市(1901)、第3回リオ・デ・ジャネイロ(1906)、第4回ブエノス・アイレス(1910)、第5回サンティアゴ(1923)、第6回ハバナ(1928)、第7回モンテビデオ(1933)、第8回リマ(1938)、第9回ボゴタ(1948)と回を重ね、ボゴタ会議において米州機構(OAS)に継承された。この間、種々の実務的取決めや学術文化交流などの協定が成立し、西半球における紛争解決や平和維持についても努力がなされた。とくにモンテビデオ会議ではアメリカが内政干渉権の廃棄を認め、リマ会議では西半球の共同防衛が宣言された。さらに1936年と45年にも、ブエノス・アイレスとメキシコのチャプルテペックで米州諸国の特別会議が開催された。
なお以上とは別に、1826年パナマにおいて、独立達成まもない中南米諸国の間で、シモン・ボリーバルの指導下に防衛の協力を図るため汎アメリカ会議が開かれ、以後、中南米諸国は必要に応じ、1847年、56年、64年に共同防衛を意図した会議を開催した。
[新川健三郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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