東京都豊島区(としまく)のほぼ中央にある一地区。JR山手(やまのて)線・埼京線・湘南新宿ライン、東武鉄道東上線、西武鉄道池袋線、東京地下鉄丸ノ内線・有楽町(ゆうらくちょう)線・副都心線が集まる副都心の一つで、新宿、渋谷(しぶや)とともに、にぎやかな商店街、歓楽街を形成している。かつて、このあたりには多くの池があり、1990年代後半まで、池袋駅西口の南、元池袋公園内には、江戸時代にホタルと月の名所であった丸池の名残(なごり)とされる小池があった。この丸池は弦巻(つるまき)川の水源池で、付近は窪地(くぼち)になっていて地形が袋のようになっていたことが地名の由来という。江戸時代から明治中期まで豊島郡池袋村など。山手台地上にあり、付近一帯は広い畑地であったが、1903年(明治36)日本鉄道品川線・豊島線(現、JR埼京線・山手線)の池袋駅が開設され、1909年豊島師範学校ができてから発展し始めた。1914年(大正3)東上鉄道(現、東武東上線)、翌1915年武蔵野(むさしの)鉄道(現、西武池袋線)が開通し、1918年には築地(つきじ)から立教大学が移転してきた。しかし、第二次世界大戦前は隣駅の大塚のほうが繁栄していた。戦後、郊外の住宅地化が急激に進むにつれ、池袋の優位性が発展を引き起こし、とくに1954年(昭和29)営団地下鉄丸ノ内線(現、東京地下鉄丸ノ内線)が開通してから副都心へと発展した。駅の東側には西武、池袋パルコ、大型家電量販店、映画館、飲食店、商店などが集まる。また旧東京拘置所(巣鴨プリズン)跡地に1978年高層建築のサンシャイン60(240メートル)を有するサンシャインシティが建設され、国際水族館やプラネタリウムがあるワールドインポートマート、専門店街のアルパ、古代オリエント博物館やサンシャイン劇場がある文化会館、ホテルなどの建物がある。一方、駅の西口は戦災後、闇(やみ)屋のバラック街であったが、1962年整理され面目を一新し、東武百貨店、東京芸術劇場のほか、ホテル、銀行などがあり、旧豊島師範跡は池袋西口公園になっている。西池袋の自由学園明日館(じゆうがくえんみょうにちかん)(1921年建築)は国指定(1997)重要文化財で、帝国ホテルの設計で知られるF・L・ライトの手になる。丸池の名残とされる小池があった元池袋公園は下水道工事に伴い移転し、小池も埋められた。1998年(平成10)東隣に開園した元池袋史跡公園に「池袋地名ゆかりの池」の記念碑が残されている。
[沢田 清]
東京都豊島区中央部,JR山手線の池袋駅を中心とする一帯。江戸時代には江戸市街地北西部外側の農村地帯で,豊島郡池袋村があった。明治になって巣鴨村,西巣鴨村,板橋町を経て,1932年より現在の豊島区の地名となる。1903年日本鉄道(現,山手線)が田端駅から延長されて巣鴨,大塚,池袋と駅ができ,ひらけ始めた。明治末には池袋駅の西口方面に豊島師範(のちの東京学芸大学),成蹊実務学校(のちの成蹊大学)ができ,大正に入って15年に山手環状線が完成し,18年には立教大学が築地から移転して学園町となった。大正前期までに東上鉄道(現,東武東上線)と武蔵野鉄道(現,西武池袋線)が通じたが,池袋はその沿線および国鉄赤羽線(現,JR埼京線)を後背地とする小さな中心地に過ぎなかった。
第2次世界大戦後大きく発展し,長い間続いた駅周辺の闇市も55年ころから区画整理されたり本格的店舗へと変わっていった。1940年設立された武蔵野デパートは49年西武百貨店と改称,83年には日本一の売上高を誇る大規模デパートへと発展した。駅周辺には東口に西武に続くパルコ,三越,西口に東武,丸井などの大型店舗があり,そのほかきわめて多くの小売店が集中している。1954年地下鉄丸ノ内線,74年には有楽町線(これはさらに外郊へ延長)が開通し,ほかの私鉄沿線の宅地開発も進んで新宿に次ぎ,渋谷と並ぶ副都心へと急成長した。1960年以後東京都による池袋の副都心地域指定もあり,戦後は戦犯者収容所であったもと巣鴨刑務所(のち東京拘置所),東京学芸大学付属小学校,芝浦工大高校,国鉄東京工事局などを移転させ,現代的都市づくりが進められた。東京拘置所跡地には1978年,60階建ての超高層ビル〈サンシャイン60〉を含むサンシャイン・シティが完成し,古代オリエント博物館,水族館,輸入品展示場があるほか,部屋数1200のホテルもある。東京の北部と北西部から埼玉県の南西部を占める宅地化の著しい広い後背地をもっており,将来の発展が予想される。
執筆者:正井 泰夫
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